2025/12/06

(00697)首程控股 予想PER25倍 予想配当6.8% 人型ロボット


中国の十五次五ヶ年計画(2026~2030年)の前段の会議で有望とされている
ヒューマノイドロボットのことを調べていたら(00697)首程控股にたどり着きました。

ヒューマノイドロボット業界全般のこと、(00697)首程控股のことを書いてみます。
※この記事内の引用元が英語、中国語の場合、chatgptの翻訳を載せています。


----------目次----------
1.ヒューマノイドロボット業界について(概要)
2.ヒューマノイドロボット業界について中国政府方針
3.ヒューマノイドロボット業界の課題
4.ヒューマノイドロボットのコスト構造
5.(00697)首程控股のこと


■1.ヒューマノイドロボット業界について(概要)


ロボットは従来の産業用ロボット、新しいサービスロボットの2種類にわかれます。
従来の
産業用ロボット
新しい
サービスロボット
・導入に数週間~数か月かかる
・作業変更の柔軟性がない
・導入時間を大幅に短縮可能
・環境変化に強い

新しいロボットについては、経済産業省では2030年頃から急速に拡大すると予測しています。





ヒューマノイドロボットの利用シーンが最初はイメージわかなかったんですが、
”ドラえもん”ってイメージしたら頭にスッと入ってきて、
工場、清掃、警備、介護、災害現場等が想定されているようです。



代表的な企業として、以下の企業があります。



また少し古い2022年の情報として、中国におけるシェアは以下の通りです。



2年程度でトップ企業が入れ替わってしまう世界ではないかと思います。

こちらはCOBOT(稼働可能なロボットアームを備えたロボット)という分野のシェアです。



2025年12月時点で中国に上場してるロボット系企業です。
(ブログ主調べで誤りがあるかもしれません)
銘柄コード銘柄名備考
0697首程控股投資会社
2238広州汽車人型ロボット
2432DOBOTロボットアーム
2451緑源集団ロボット部品
2498速騰聚創科技ロボット部品
2590Geek+人型ロボット(倉庫作業)
2670北京雲跡科技人型ロボット(ホテル)
6098碧桂園服務人型ロボット(清掃)
9868小鵬汽車人型ロボット
9880UBTECH人型ロボット
002050三花智控テスラ部品
002600広東領益智造ロボット部品
002896寧波中大力徳智能伝動ロボット部品
300503昊志机電ロボット部品
601689寧波拓普集団テスラ部品
603119浙江栄泰電工器材ロボットアーム
688017蘇州緑的諧波伝動科技股分ロボット部品
688322奥比中光ロボット部品
上場準備中UDITECH人型ロボット
上場準備中Unitree Robotics人型ロボット
上場準備中SEER Robotics人型ロボット


ここまでの記事は主に以下の記事を参考にさせていただきました。
経済産業省 AIロボティクス検討会 とりまとめ(20251008)
野村総研 中国における人型ロボット産業の現状と将来展望(20250718)
三菱総研 前編 ヒューマノイドロボットへの期待:社会実装される5つの意義(20250609)

■2.ヒューマノイドロボット業界について中国政府方針


中国政府は、十五次五ヶ年計画(2026年~2030年)の前段の会議(20251028)で
以下のような方針を打ち出しています。

3. 近代的な産業体系の構築と実体経済基盤の強化
(8)新興産業および未来産業の育成・拡大
・新興支柱産業の構築に注力
 産業イノベーションプロジェクトを実施し、革新施設の整備、技術研究開発、製品の反復的アップグレードを一体的に推進する。
 新エネルギー、新素材、航空宇宙、低空経済などの戦略的な新興産業クラスターの発展を加速する。

・産業エコシステムの整備
 新技術、新製品、新しい利用シナリオの大規模な応用・実証を実施し、新興産業の規模拡大を促進する。

・未来産業への先見的な布石
 多様な技術路線、典型的な応用シナリオ、実現可能なビジネスモデル、そして市場規制ルールを探索する。
 量子科学技術、生物製造、水素エネルギーと核融合エネルギー、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)、具身型知能(Embodied Intelligence)、第6世代移動通信(6G)などを新たな経済成長の柱にする。

・イノベーションの推進と規制改革
 規制方式を革新し、ベンチャーキャピタルを発展させ、未来産業への投資拡大とリスク分担のメカニズムを確立する。

・中小企業とユニコーン企業の育成
 中小企業の「専門特化・精密・独自・革新」の発展を促進し、ユニコーン企業を育てる。

市場規制ルールについては、おそらく標準化や最低限の品質保証ではないかとブログ主は思います。
20251103に清掃ロボットの基準が発布されました。
・清掃性能細分化(清掃、吸塵、塵押し、端部清掃)の性能指標
・運動性能評価(速度、障害物・段差を越える能力、脱困能力)
・安全性、騒音、環境への配慮

中国政府がロボットバブルを懸念する発言がありました。
ブルームバーグ 中国ロボット関連株に過熱警報





■3.ヒューマノイドロボット業界の課題


中国で書かれた課題の記事を2つ見つけました。
経営に失敗して倒産した事例を分析したものです。

記事1(中国語)
消費電力の問題 自由度を上げることと、消費電力、バッテリー寿命、重量、コストの間でトレードオフ
・感知と精度の問題 複雑な環境下で誤差が大きい
・サプライチェーンと部品の輸入依存 日本やドイツへの依存
・量産のハードルの高さ、サプライチェーン未成熟
商業化シーンが限定的でコスト回収が難しい

記事2(中国語)
・家庭用 市場規模が小さく、機能がスマホアプリやスマートスピーカーなどで代替されやすい
高コスト
・母体企業からの過度な依存 資金繰り
・ハードウェアコストが高く、付加価値(+継続購入・利用)が低い
・研究・実験レベルの「科研試作機/サンプルマシン」 市場投入されない
・万能型家庭サービスロボット 家庭ユーザーの支払い能力やニーズとの乖離が大きい

ほかに見かけて印象的だったのは、ロボットが問題を起こしたときの責任の所在は?ということが挙げられてました。


■4.ヒューマノイドロボットのコスト構造


産業用インテリジェントロボットのコスト構造は、代表例として AMR を挙げると、認知、制御、駆動、電源システムの合計コストは総コストの 70% 以上を占める。

ナビゲーション用 LiDAR などの主要コンポーネントのコストは継続的に低下しており、平均価格は 2020 年の 1.21 万元から 2024 年には 0.77 万元に下がり、2029 年には 0.53 万元までさらに低下すると予測されている。



このコスト低下の主な要因は、技術の成熟、確立された標準化された生産プロセス、高度に統合されたモジュール、国内での規模生産によるものであり、ナビゲーション LiDAR はより信頼性が高く、手頃な価格になっている。

このコスト効率により、ロボットソリューションはよりアクセスしやすく競争力のあるものとなっている。
市場のさらなる成熟と導入規模の拡大に伴い、これら重要コンポーネントのコストはさらに低下し、より広範な産業への産業用インテリジェントロボット導入が加速すると見込まれている。

コストの 10~20% を占めるロボット制御システムは、プリント回路基板(PCB)、集積回路(IC)チップ、トランジスタ、抵抗器、コンデンサなど、多種多様な電子部品に依存している。
世界最大の PCB基板生産基地である中国本土は、世界の生産額の 50%以上を占めている。
中国における PCB の平均単価は、2020~2022 年パンデミックによる銅鉱山の操業停止が供給不足を招き変動が生じた。
2029 年には 1 平方メートルあたり 609 元までさらに低下すると見込まれている。


この項は、2025年11月28日SEER Robotics社のIPO資料をもとに書いています。


■5.(00697)首程控股のこと


ここまでのことを踏まえて
・どの企業が勝ち残るかわからない
・キャッシュフローがとにかく大事
ということをブログ主は優先的に考えて、
ロボットメーカーに投資する企業の(00697)首程控股が
良さそうに思いました。

会社の概要としては、
・主に空港の駐車場運営が本業(主要空港を押さえていてキャッシュフローが安定)
・ロボット企業数十社に投資している
・ロボット企業に運営中の駐車場で実戦させてデータ検証を重ねてる
・ロボット体験店を2025年に1号店オープンして以来、20店舗を目指している
という唯一の特徴があるような気がします。

DBS銀行のアナリストレポート(中国語)がほとんど同じこと言ってます。

事業セグメントごとの売上と事業内容です。



①Carpark income事業(2022年annual reportより)
 2022年、資産運営による収益は5億8,300万HKドルで、前年同期比で8.5%減少しました。
 2022年に収益が減少した主な原因は新型コロナウイルスの影響です。
 感染症対策期間中、大型交通拠点(空港など)の駐車場における収益規模が急激に減少しました。

駐車場運営権を受注した代表的な施設
  • 2018年 北京大興国際空港
  • 2018年 上海虹橋空港
  • 2018年 貴陽龍洞堡空港
  • 2018年 北京中日友好医院
  • 2018年 北京駅
  • 2019年 上海浦東国際空港
  • 2019年 南京市秦淮区の公共駐車場
  • 2019年 北京首都国際空港
  • 2020年 ボアオ国際空港
  • 2020年 唐山駅
  • 2021年 寧波櫟社国際空港
  • 2021年 鄭州新鄭国際空港
  • 2021年 張家口寧遠空港
  • 2021年 昭通空港
  • 2022年 西安咸陽国際空港
  • 2023年 広州白雲国際空港
  • 2023年 北京豊台駅
  • 2024年 ラサ・クンガ国際空港
  • 2024年 天津浜海国際空港


②Fund management services事業(2018年annual reportより)
 ・2017年末に「京冀協同発展示範区(唐山)基金管理有限公司」を買収
 ・2018年12月31日時点で、京冀キャピタルが運用または管理するファンドは17本、その目標募集総額は約300億元
 ・ファンドの投資家は、中国農業銀行、招商銀行、中国人寿保険、北京市、河北省、吉林省、四川省、黒竜江省などの地方政府系ファンド投資機関
 ・ファンドの主な投資対象は、駐車場関連インフラの建設および既存パーク(施設)の再開発
 ・併せて、医療・ヘルスケア関連の消費高度化分野、新エネルギー自動車部品・設備製造分野、および先端技術分野への投資も検討

③Leasing income事業(2019年annual reportより)
 ・グループは、各種オフィス物件および駐車場資産をリースしている。
 ・リース契約の期間は通常1年から20年ですが、延長オプションが含まれる場合がある。
 ・リース期間は個別に交渉され、さまざまな条件や条項が設定されている。

④service concession Agreement事業(2020年annual reportより)
 ・グループの建設サービス
 ・サービスコンセッション契約に基づく建設サービスの収益は、原価プラス方式(コストプラス)で見積もられ、契約日現在の同様の建設サービスに適用される市場の粗利益率を参照して算定

⑥Excess return from investment funds事業(2021年,2024年annual reportより)
 ・インフラおよび不動産ファンド管理事業においてファンド分配を認識
 ・インフラおよび不動産ファンド管理の分野において、グループは「ファンド+拠点+産業」という不動産金融モデルを採用し、産業体の開発、管理、運営、エグジット(投資回収)に参加することで、ファンド投資を通じて産業資源をカバーし、資産価値の向上を図っている。
 ・株式投資がエグジット段階に入ったときの超過リターン

 ・グループの新規投資プロジェクトは、車両向けの自動運転ソリューションや、人工知能チップなど関連分野に関連している。
 ・あるファンド投資では収益分配が開始され、グループに初回の超過リターン(税引前)として2億5,800万香港ドルをもたらした。
 ・投資済みプロジェクトの引き揚げに伴い、現在グループが管理しているファンドは順次分配される予定で、これにより相当のリターンが生み出される見込み。

 ・2024年、中国の主要企業10社以上に投資しており、対象分野は組み込み型知能、ヒューマノイドロボティクス、高インパクトシナリオで活用されるロボットなど。
 ・具体的には、Unitree Robotics、Galbot、Galaxea.ai、Narwal、X Square Robot、Noetix Robotics、Rossum Robot、X-Magtech、TowardPi Medicalなどが含まれる。
 ・今後2~3年で、さらに40~50社のトップティアのロボティクス企業に追加投資を行い、卓越した起業家とともに急速な成長を支援する予定。

 ・グループは全国の駐車場および商業施設、産業パーク、アパートメントなど多様な事業分野を網羅している。
 ・これらの場所は、清掃ロボット、警備ロボット、案内ロボットの実運用シナリオによる検証の場として活用可能。
 ・実際の運営データをロボット製品にフィードバックしてアップグレードを行うことで、グループは「技術検証-製品アップグレード-大規模適用」のチェーン全体を接続することを目指している。

 ・このアプローチにより、「資本+産業」の深い統合が促進され、ヒューマノイドロボットを含む高品質企業の事業化プロセスの加速が実現される。

この企業が投資しているUnitree、GalbotはNVIDIA基調講演時に上がったロボットのメーカーであり、
Unitreeは中国本土への上場手続きが進められています。

Unitreeのロボットは日本企業でも実証実験をされており、
生き残る可能性がある会社の1つではないかと個人的に思います。

JR東日本の実証実験例
オリエンタル白石の実証実験例

2025年の予想配当利回りが6%を越えてますが、
特別配当が含まれていて、通常は2%くらいです



ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。





2025/05/30

(1835)東鉄工業 予想PER 10倍 予想配当4.0% 鉄道工事


鉄道工事会社の(1835)東鉄工業を新たに買いました。

その時に調べたことを、以下の目次に沿って書いてみます。
1.購入ストーリー
2.JR東日本の設備投資計画が多い
3.JR東日本の設備投資を請け負う会社の比較→東鉄工業
4.東鉄工業の詳細データとブログ主の期待値
5.まとめ


■1.購入ストーリー


<購入のストーリー>


ここ数年、鉄道各社が運賃値上げの申請を国にしました。
申請では、設備投資をある程度の規模で行うことを約束しました。
その状況で設備投資の恩恵を受けそうな会社を比較して東鉄工業を選びました。

<運賃値上げ>


国土交通省のサイトで鉄道運賃の申請ルールや、過去の値上げ申請が見られます。

ブログ主の理解だと、
「鉄道運賃の値上げをしたければ、原価や設備投資計画を提出しなさい」
「設備投資の実績が計画を下回った場合は、その分の運賃を安くしなさい」
という概念が2020年頃から始まった(根拠は法律?、通達?)と理解してます。

例えばJR東日本が申請した設備投資計画はこれ↓です。





車両導入以外の設備投資計画は軒並み増加傾向にあります。

申請の中に書かれてる設備投資計画を全社分ブログ主がまとめたものがこれ↓です。



(年がずれていたらすみません。各社の年の記載の違いに混乱しながらまとめました・・)

ここから言えることは3つあります。
・JR東日本の設備投資額が圧倒的に多い
・各社コロナ中の実績より、今後の計画額は増加傾向
・JR東海、JR西日本等、申請してない会社もある

金額が一番大きいJR東日本の設備投資を深堀りしていきます。

なお、JR東日本の申請は最終的には未承認ですが、
運輸審議会は「申請どおり認可」の結論が出ており、承認される前提でブログ主は考えています。

また、消費者委員会(2025.5.12)では、JR東日本が「老朽化対策として2029年度以降も同程度の設備投資金額がかかっていく」という主旨の発言をしています。








■2.JR東日本の設備投資計画


結論から言うと、JR東日本の設備投資は今後3年減らないし、
なんなら増えるかもしれない
と考えています。

そう考えた根拠のデータとかを見ていきます。

<設備投資を見るときの前提(推測)>


JR東日本は設備投資計画を2種類公表しています。
・運賃改定申請
・決算説明会資料

決算説明会資料の設備投資計画はこれ↓です。



この2種類の設備投資計画の関係は?ということで
全部並べてみました。



設備投資実績値からのブログ主の推測ですが、
運賃改定のときに提出された設備投資計画の範囲と、
モビリティ部門の設備投資の範囲がほぼ同じ
であると思います。

※JR東日本の定義
【モビリティ】:運輸事業
【生活ソリューション】:流通・サービス事業、不動産・ホテル事業、その他

それならなぜ決算説明会で設備投資計画を出しているのか?
ということですが、
運賃改定計画は、設備投資の下限を指していて、
決算説明会計画は、設備投資の上限を指しているものと解釈しています。

運賃改定計画は、設備投資計画を下回った場合は、その分の運賃を安くする必要がありそう
という冒頭の解釈によるものです。(だから下回りたくないはず)

<設備投資5ヵ年計画>


過去の設備投資5ヵ年計画を並べてみました。



年によって計画を越える場合と、越えない場合が混在します。
直近の2024年~2028年の計画について詳細に分解すると
ちょっと不自然に思える点があるのです。



今年の設備投資を計画通りに使うと仮定すると、
5ヵ年計画の最後の2年が、
モビリティは約1兆円の枠が残ります。
生活ソリューションは約4000億円しか枠が残りません。

運賃改定の計画と決算説明会の計画をあわせて考えると
設備投資(モビリティ)の今後3年間は、
下限で4300億円前後
上限で5300億円前後

になるんじゃないかとブログ主は推測しています。





■3.JR東日本の設備投資を請け負う会社の比較


<JR東日本の設備投資を請け負う会社の比較>


JR東日本の設備投資を請け負って恩恵を受けそうと思われる会社を
ブログ主の独断でピックアップして比較してみました。



JR東日本の鉄道工事会社は主要5社と呼ばれていて、
第一建設、東鉄工業、ユニオン建設、交通建設、仙建工業になります。

特に第一建設、東鉄工業のJR東日本に対する売上の比率が高めでしたので、
そこから銘柄購入候補を考えました。

次に来期の業績予想です。



第一建設、東鉄工業は受注予想が前年比マイナスです。

JR東日本の設備投資計画から考えると、
・「設備投資から恩恵を受けそう」というブログ主の前提が誤りの可能性
・会社がマンパワー的にもう受けられないと考えている可能性
・会社の予想が保守的な可能性
といくつか可能性が考えられます。

ちなみに第一建設も東鉄工業も、受注残高は過去最高水準で残っています。

この中でブログ主は東鉄工業を買いましたので、
次に東鉄工業の各種データを見ていきます。





■4.東鉄工業の詳細データとブログ主の期待値


<東鉄工業の詳細データとブログ主の期待値>


JR東日本の設備投資(モビリティ)と東鉄工業の受注高です。



なんとなく連動してるような気がします。

東鉄工業の受注高、売上高、売上総利益率です。



受注が多いと売上が増えて、売上が多いと売上総利益率が高くなる傾向の気がします。

これまでの受注会社予想と実績です。



リーマンショックの2009年、2010年は予想を下回る受注ですが、
ここ2年くらいは会社予想を上回る受注をしています。

JR東の設備投資が前年比微減の計画から考えると、
来期の東鉄工業の受注が予想をやや上回る可能性があるとブログ主的には考えています。

最後に受注について、前期からの繰越高+今期の受注高のグラフです。
比較のため、東鉄工業と第一建設を出します。





「前期からの繰越高+今期の受注高」の何割かが今期の売上になり、
残りの何割かが来期への受注繰越高になります。
※東鉄工業は付帯事業売上高が計上されていて、ほんの少し一致しないです。

東鉄工業は「前期からの繰越高+今期の受注高」が来期やや減る見込みになっていて、
第一建設は横ばいの見込みになっています。

受注が会社予想通りなら(ブログ主は予想が保守的だと思ってるんですが・・)、
東鉄工業の売上は、2026年は増加するかわりに、2027年は減少するかもしれない
第一建設の売上は、2026年は減少するかわりに、2027年は増加するかもしれない
とブログ主は解釈しています。

おまけ
東鉄工業(単体)の売上原価、利益





■5.まとめ


これまでの考察のまとめです

・東鉄工業の売上は、JR東日本の設備投資額(モビリティ)と連動する
・JR東日本の設備投資額(モビリティ)は、今後3年間、微減~+20%前後
・東鉄工業の売上総利益率、営業利益率は、売上が多いほど高くなる

なので売上、利益は悪くて横ばい、良ければ増えるかも?
と思って買いました。


ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。




2025/04/25

(9768)いであ 予想PER 8倍 予想配当4.1% 建設コンサル


建設コンサルの(9768)いであを新たに買いました。

ブログ主が考えた、

1.基本的な考え方
 ・売上=社員数×単価
 ・売上は公共工事予算に依存

2.良いところ
 ・防衛省への売上が多い
 ・中期経営計画を公表

3.悪いところ
 ・社員数で売上の上限がある程度決まる
 ・想定外の費用のリスク

を書いてみます。


■基本的な考え方

<売上=従業員数×単価>


この式がすべてです。(ITシステムの受託開発と同じ)
ビジネスモデルを同業の(9621)建設技術研究所の資料で見てみます。





ポイントは「設計・成功分離の原則」により建設コンサルは必要な存在であること。
5~6名のチームで構成されること。
リーダーに資格保有者が必要なことです。

いであ単体の売上原価が労務費72億、外注費46億で、
過去10年ほぼ3:2の比率で推移してますので、
イメージ的には従業員3人、外注2人の5人チームが標準モデルと考えます。

仮に単価が月1人あたり100万円なら、5人チームで月の売上が500万円になります。
従業員1人あたりに直すと500万円÷3人=166万円/月
166万円/月×12か月=2000万円(従業員1人あたり年間売上)
というのがざっくりとしたブログ主のイメージです。

それをふまえて、 単価について、従業員1人あたりの売上を計算してみました。



海外事業のある会社もありますので雑な言い方ですが、
従業員1人あたりの売上はだいたい年間2000万円強になるようです。
また、単価が少しずつ上がっていることがわかります。

<売上は公共工事予算に依存>


公共事業関係費と売上の推移です。



公共事業関係費は(9621)建設技術研究所の資料から抜粋しました。
いであは国・地方自治体から86%の売上があります。
また、建設技術研究所は国・地方自治体から90%の売上があります。
そのため、建設コンサルの売上は公共事業関係費と強く関係していると言えると思います。

2025年で前回の国土強靭化5ヵ年対策が終わり
今後、公共事業関係費が増えるか減るかは国土強靱化年次計画2025次第だと思います。

ブログ主が首相官邸の資料を見ると、
公共事業関係費推移はこういう感じではないかと思います。

・3か年緊急対策
 平成30年度から令和2年度
 おおむね7兆円程度

・国土強靱化年次計画2020
 令和3年度~令和7年度
 おおむね15兆円程度

・国土強靱化年次計画2025(2025年6月に閣議決定?)
 令和8年度から令和12年度
 おおむね20兆円強程度


書き直すと

2018-2020年 2.3兆円/年
2021-2025年 3.0兆円/年(+29%)
2026-2030年 4.0兆円/年(+33%)

計画通りにすすんだ場合建設コンサル全般的に
2030年(令和12年度)までの売上が確保されてる状態に近いんじゃないか?







■良いところ

<防衛省への売上が多い>


各社の売上上位先です。



いであ(と協和コンサル)は、防衛省への売上比率が大きいです。
防衛省の発注実績を見ると、それ以外の会社も防衛省から受注していることもあるようです。

このところ防衛予算の引き上げが相次いでいるので、
おこぼれがあるかもしれないし、無いかもしれません。いや、ないか・・

<中期経営計画を公表>


中期経営計画で売上目標を公表しています。
各社の目標を1つのエクセルにまとめてみました。



いであは2027年に2024年比売上+10%を目標にしています。
毎年4%前後の売上成長のイメージで、
同業他社と比べて大きく違わないような気がします。

売上目標の根拠となる従業員数の中期経営計画です。



会社ごとに記載レベルが異なるので比較が難しく、
参考程度のものです。

マイナビから直近の新卒採用計画を集計してみました。



平均すると既存の従業員数の5%前後を新卒採用する感じのようです。
これも会社ごとに記載レベルが異なりますし、中途採用の人数を含まないため参考程度に。





■悪いところ

<社員数で売上の上限がある程度決まる>


国の予算で売上がほぼ決まる一方で、
費用の大半を占める労務費、外注費(つまり給料)が上がる懸念があります。
労務費、外注費が仮に5%上昇したら
利益にどのくらい影響があるか試算・考察してみました。



国の事業だから売上が変わらないまま、
営業利益率13%くらいの事業で、原価率が3%くらい上がるなら、
営業利益率は10%くらいに減るのでは?という試算・考察です。



ただ、単価の推移を見てみると、
コスト上昇は単価の上昇で吸収できるかもしれないです。

<想定外の費用のリスク>


営業利益の推移です。



営業利益が低下した年が4つあります。
2015年 現地調査などの原価率が高い大型業務が増加
2016年 現地調査などの原価率が高い大型業務が増加。受注済みだった大規模海洋工事の中断
2017年 現地調査などの原価率が高い大型業務が増加
2023年 売上減少による減益

2015年~2017年と同様なことが今後も起きるなら、
現地調査などの原価率が高い大型業務というのは
外部の人間にはなかなか予測が難しいリスクだと思います。

また、国からの受注でも工事中断のリスクがあるということです。
(国との標準的な契約(中断との関連性)はよくわからなかったです。)




■まとめ

これまでの内容をまとめますと、

・建設コンサルごと会社間の違いはあまりなさそう
・売上は堅そう
・利益上振れ要因より下振れ要因のほうが多い気がする
・(それなら株主還元が良さそうなところで・・)

というイメージで買いました


ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。