2025/05/30

(1835)東鉄工業 予想PER 10倍 予想配当4.0% 鉄道工事


鉄道工事会社の(1835)東鉄工業を新たに買いました。

その時に調べたことを、以下の目次に沿って書いてみます。
1.購入ストーリー
2.JR東日本の設備投資計画が多い
3.JR東日本の設備投資を請け負う会社の比較→東鉄工業
4.東鉄工業の詳細データとブログ主の期待値
5.まとめ


■1.購入ストーリー


<購入のストーリー>


ここ数年、鉄道各社が運賃値上げの申請を国にしました。
申請では、設備投資をある程度の規模で行うことを約束しました。
その状況で設備投資の恩恵を受けそうな会社を比較して東鉄工業を選びました。

<運賃値上げ>


国土交通省のサイトで鉄道運賃の申請ルールや、過去の値上げ申請が見られます。

ブログ主の理解だと、
「鉄道運賃の値上げをしたければ、原価や設備投資計画を提出しなさい」
「設備投資の実績が計画を下回った場合は、その分の運賃を安くしなさい」
という概念が2020年頃から始まった(根拠は法律?、通達?)と理解してます。

例えばJR東日本が申請した設備投資計画はこれ↓です。





車両導入以外の設備投資計画は軒並み増加傾向にあります。

申請の中に書かれてる設備投資計画を全社分ブログ主がまとめたものがこれ↓です。



(年がずれていたらすみません。各社の年の記載の違いに混乱しながらまとめました・・)

ここから言えることは3つあります。
・JR東日本の設備投資額が圧倒的に多い
・各社コロナ中の実績より、今後の計画額は増加傾向
・JR東海、JR西日本等、申請してない会社もある

金額が一番大きいJR東日本の設備投資を深堀りしていきます。

なお、JR東日本の申請は最終的には未承認ですが、
運輸審議会は「申請どおり認可」の結論が出ており、承認される前提でブログ主は考えています。

また、消費者委員会(2025.5.12)では、JR東日本が「老朽化対策として2029年度以降も同程度の設備投資金額がかかっていく」という主旨の発言をしています。








■2.JR東日本の設備投資計画


結論から言うと、JR東日本の設備投資は今後3年減らないし、
なんなら増えるかもしれない
と考えています。

そう考えた根拠のデータとかを見ていきます。

<設備投資を見るときの前提(推測)>


JR東日本は設備投資計画を2種類公表しています。
・運賃改定申請
・決算説明会資料

決算説明会資料の設備投資計画はこれ↓です。



この2種類の設備投資計画の関係は?ということで
全部並べてみました。



設備投資実績値からのブログ主の推測ですが、
運賃改定のときに提出された設備投資計画の範囲と、
モビリティ部門の設備投資の範囲がほぼ同じ
であると思います。

※JR東日本の定義
【モビリティ】:運輸事業
【生活ソリューション】:流通・サービス事業、不動産・ホテル事業、その他

それならなぜ決算説明会で設備投資計画を出しているのか?
ということですが、
運賃改定計画は、設備投資の下限を指していて、
決算説明会計画は、設備投資の上限を指しているものと解釈しています。

運賃改定計画は、設備投資計画を下回った場合は、その分の運賃を安くする必要がありそう
という冒頭の解釈によるものです。(だから下回りたくないはず)

<設備投資5ヵ年計画>


過去の設備投資5ヵ年計画を並べてみました。



年によって計画を越える場合と、越えない場合が混在します。
直近の2024年~2028年の計画について詳細に分解すると
ちょっと不自然に思える点があるのです。



今年の設備投資を計画通りに使うと仮定すると、
5ヵ年計画の最後の2年が、
モビリティは約1兆円の枠が残ります。
生活ソリューションは約4000億円しか枠が残りません。

運賃改定の計画と決算説明会の計画をあわせて考えると
設備投資(モビリティ)の今後3年間は、
下限で4300億円前後
上限で5300億円前後

になるんじゃないかとブログ主は推測しています。





■3.JR東日本の設備投資を請け負う会社の比較


<JR東日本の設備投資を請け負う会社の比較>


JR東日本の設備投資を請け負って恩恵を受けそうと思われる会社を
ブログ主の独断でピックアップして比較してみました。



JR東日本の鉄道工事会社は主要5社と呼ばれていて、
第一建設、東鉄工業、ユニオン建設、交通建設、仙建工業になります。

特に第一建設、東鉄工業のJR東日本に対する売上の比率が高めでしたので、
そこから銘柄購入候補を考えました。

次に来期の業績予想です。



第一建設、東鉄工業は受注予想が前年比マイナスです。

JR東日本の設備投資計画から考えると、
・「設備投資から恩恵を受けそう」というブログ主の前提が誤りの可能性
・会社がマンパワー的にもう受けられないと考えている可能性
・会社の予想が保守的な可能性
といくつか可能性が考えられます。

ちなみに第一建設も東鉄工業も、受注残高は過去最高水準で残っています。

この中でブログ主は東鉄工業を買いましたので、
次に東鉄工業の各種データを見ていきます。





■4.東鉄工業の詳細データとブログ主の期待値


<東鉄工業の詳細データとブログ主の期待値>


JR東日本の設備投資(モビリティ)と東鉄工業の受注高です。



なんとなく連動してるような気がします。

東鉄工業の受注高、売上高、売上総利益率です。



受注が多いと売上が増えて、売上が多いと売上総利益率が高くなる傾向の気がします。

これまでの受注会社予想と実績です。



リーマンショックの2009年、2010年は予想を下回る受注ですが、
ここ2年くらいは会社予想を上回る受注をしています。

JR東の設備投資が前年比微減の計画から考えると、
来期の東鉄工業の受注が予想をやや上回る可能性があるとブログ主的には考えています。

最後に受注について、前期からの繰越高+今期の受注高のグラフです。
比較のため、東鉄工業と第一建設を出します。





「前期からの繰越高+今期の受注高」の何割かが今期の売上になり、
残りの何割かが来期への受注繰越高になります。
※東鉄工業は付帯事業売上高が計上されていて、ほんの少し一致しないです。

東鉄工業は「前期からの繰越高+今期の受注高」が来期やや減る見込みになっていて、
第一建設は横ばいの見込みになっています。

受注が会社予想通りなら(ブログ主は予想が保守的だと思ってるんですが・・)、
東鉄工業の売上は、2026年は増加するかわりに、2027年は減少するかもしれない
第一建設の売上は、2026年は減少するかわりに、2027年は増加するかもしれない
とブログ主は解釈しています。

おまけ
東鉄工業(単体)の売上原価、利益





■5.まとめ


これまでの考察のまとめです

・東鉄工業の売上は、JR東日本の設備投資額(モビリティ)と連動する
・JR東日本の設備投資額(モビリティ)は、今後3年間、微減~+20%前後
・東鉄工業の売上総利益率、営業利益率は、売上が多いほど高くなる

なので売上、利益は悪くて横ばい、良ければ増えるかも?
と思って買いました。


ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。




2025/04/25

(9768)いであ 予想PER 8倍 予想配当4.1% 建設コンサル


建設コンサルの(9768)いであを新たに買いました。

ブログ主が考えた、

1.基本的な考え方
 ・売上=社員数×単価
 ・売上は公共工事予算に依存

2.良いところ
 ・防衛省への売上が多い
 ・中期経営計画を公表

3.悪いところ
 ・社員数で売上の上限がある程度決まる
 ・想定外の費用のリスク

を書いてみます。


■基本的な考え方

<売上=従業員数×単価>


この式がすべてです。(ITシステムの受託開発と同じ)
ビジネスモデルを同業の(9621)建設技術研究所の資料で見てみます。





ポイントは「設計・成功分離の原則」により建設コンサルは必要な存在であること。
5~6名のチームで構成されること。
リーダーに資格保有者が必要なことです。

いであ単体の売上原価が労務費72億、外注費46億で、
過去10年ほぼ3:2の比率で推移してますので、
イメージ的には従業員3人、外注2人の5人チームが標準モデルと考えます。

仮に単価が月1人あたり100万円なら、5人チームで月の売上が500万円になります。
従業員1人あたりに直すと500万円÷3人=166万円/月
166万円/月×12か月=2000万円(従業員1人あたり年間売上)
というのがざっくりとしたブログ主のイメージです。

それをふまえて、 単価について、従業員1人あたりの売上を計算してみました。



海外事業のある会社もありますので雑な言い方ですが、
従業員1人あたりの売上はだいたい年間2000万円強になるようです。
また、単価が少しずつ上がっていることがわかります。

<売上は公共工事予算に依存>


公共事業関係費と売上の推移です。



公共事業関係費は(9621)建設技術研究所の資料から抜粋しました。
いであは国・地方自治体から86%の売上があります。
また、建設技術研究所は国・地方自治体から90%の売上があります。
そのため、建設コンサルの売上は公共事業関係費と強く関係していると言えると思います。

2025年で前回の国土強靭化5ヵ年対策が終わり
今後、公共事業関係費が増えるか減るかは国土強靱化年次計画2025次第だと思います。

ブログ主が首相官邸の資料を見ると、
公共事業関係費推移はこういう感じではないかと思います。

・3か年緊急対策
 平成30年度から令和2年度
 おおむね7兆円程度

・国土強靱化年次計画2020
 令和3年度~令和7年度
 おおむね15兆円程度

・国土強靱化年次計画2025(2025年6月に閣議決定?)
 令和8年度から令和12年度
 おおむね20兆円強程度


書き直すと

2018-2020年 2.3兆円/年
2021-2025年 3.0兆円/年(+29%)
2026-2030年 4.0兆円/年(+33%)

計画通りにすすんだ場合建設コンサル全般的に
2030年(令和12年度)までの売上が確保されてる状態に近いんじゃないか?







■良いところ

<防衛省への売上が多い>


各社の売上上位先です。



いであ(と協和コンサル)は、防衛省への売上比率が大きいです。
防衛省の発注実績を見ると、それ以外の会社も防衛省から受注していることもあるようです。

このところ防衛予算の引き上げが相次いでいるので、
おこぼれがあるかもしれないし、無いかもしれません。いや、ないか・・

<中期経営計画を公表>


中期経営計画で売上目標を公表しています。
各社の目標を1つのエクセルにまとめてみました。



いであは2027年に2024年比売上+10%を目標にしています。
毎年4%前後の売上成長のイメージで、
同業他社と比べて大きく違わないような気がします。

売上目標の根拠となる従業員数の中期経営計画です。



会社ごとに記載レベルが異なるので比較が難しく、
参考程度のものです。

マイナビから直近の新卒採用計画を集計してみました。



平均すると既存の従業員数の5%前後を新卒採用する感じのようです。
これも会社ごとに記載レベルが異なりますし、中途採用の人数を含まないため参考程度に。





■悪いところ

<社員数で売上の上限がある程度決まる>


国の予算で売上がほぼ決まる一方で、
費用の大半を占める労務費、外注費(つまり給料)が上がる懸念があります。
労務費、外注費が仮に5%上昇したら
利益にどのくらい影響があるか試算・考察してみました。



国の事業だから売上が変わらないまま、
営業利益率13%くらいの事業で、原価率が3%くらい上がるなら、
営業利益率は10%くらいに減るのでは?という試算・考察です。



ただ、単価の推移を見てみると、
コスト上昇は単価の上昇で吸収できるかもしれないです。

<想定外の費用のリスク>


営業利益の推移です。



営業利益が低下した年が4つあります。
2015年 現地調査などの原価率が高い大型業務が増加
2016年 現地調査などの原価率が高い大型業務が増加。受注済みだった大規模海洋工事の中断
2017年 現地調査などの原価率が高い大型業務が増加
2023年 売上減少による減益

2015年~2017年と同様なことが今後も起きるなら、
現地調査などの原価率が高い大型業務というのは
外部の人間にはなかなか予測が難しいリスクだと思います。

また、国からの受注でも工事中断のリスクがあるということです。
(国との標準的な契約(中断との関連性)はよくわからなかったです。)




■まとめ

これまでの内容をまとめますと、

・建設コンサルごと会社間の違いはあまりなさそう
・売上は堅そう
・利益上振れ要因より下振れ要因のほうが多い気がする
・(それなら株主還元が良さそうなところで・・)

というイメージで買いました


ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。