2020/01/28

(PG)P&G の2019年12末決算確認


(PG)P&Gの2019年12末決算を確認します。

■業績概要


売上、営業利益、営業利益率の推移です。




※2019/4Qの営業利益から、特殊な赤字(ジレットののれん減損)を除いています。

売上は、+5%増収。
営業利益は、+15%増益。
営業利益率は、2.3ポイント(22.3%→24.6%)改善。

■売上の増加要因


売上の変動要因の推移です。
※買収、事業売却等の影響が含まれています。



1Qと比べて2Qは数量、製品構成による売上成長率が下がりました。


買収、事業売却等の影響を除いたオーガニック売上成長率の推移です。



こちらも同様に、1Qと比べて2Qは数量による成長率が下がりました。
また、価格(売上と数量の差異)による成長率も下がりました。


部門ごとに見ると、




売上金額の大きい部門の数量成長率が下がって、
売上金額の小さい部門の数量成長率が上がっています。


↓売上の大きい「Fabric & Home Care」、「Baby, Feminine & Family Care」の製品







■営業利益率の増加要因


会社の説明によると、
生産性の向上、価格効果が1年前から続いています。
それに加えて、原材料価格の低下が2019年7月以降で続いています。


■2020年6末通期の見込み


各決算時点における2020年6末通期の見込みです。




(おそらく実績を反映して)
通期の売上、EPS見通しが決算ごとに引き上げられています。




設備投資の比率が一定で、(フリーキャッシュフロー/当期純利益)率が
上がってますので、より少ない設備投資で多くの
フリーキャッシュフローを獲得できていることになります。


また、株主還元も自社株買いの下限が引き上げられました。


特に異常もなさそうなので、
ブログ主が保有してる株は引き続きホールドですね。


ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。





2020/01/22

(GDS)GDS Holdings


米国ADRの(GDS)GDS Holdingsについて
赤字ですが、不動産賃貸に近いビジネスモデルとおもい
調べてみました。


■どんな会社?


北京、上海、深セン、香港でデータセンターを運営しています。

顧客先は、アリババやテンセント等があります。



2016年当時のマーケットシェアが2%でした。




上記会社の上場先です。(通信キャリアのぞく)

【米国】
・21 Vianet
・GDS

【中国】
・Wangsu
・Dr Peng
・AtHub

データセンターは、クラウドサービスのインフラ的な位置付けで、
3年で2倍の市場規模成長が見込まれています。





■同業他社と比較


<業績概要>

赤字で無配のGDSと、黒字で有配の(01686)サンイービジョンを比較してみました。
サンイービジョンは香港でデータセンター運営をしています。


まずは売上。



通貨が違いますが、1人民元=1.13香港ドルで考えると、
売上はGDSのほうが大きくなり、
成長率もGDSのほうが高いです。


次に粗利。



粗利はややサンイービジョンのほうが多く、
利益率はサンイービジョンのほうが2倍以上あります。


最後に税引前利益。



売上が増えるほど税引前利益が増えるサンイービジョン。
売上が増えても税引前利益の赤字が増えるGDS。


<利益率の違い>

過去の固定資産:建物&設備(Property, plant and equipment)の推移を
見てみると、サンイービジョンは2013年まではほぼ横ばいでした。
その間売上は、約3倍になりました。




売上を建物&設備(建設中をのぞく)で割り算すると、
サンイービジョンは建物&設備1単位あたり売上が年々増えてきています。

単価が高いのか、データセンターの供給(キャビネット数)を増やしているのか。


一方でGDSのほうは建物をどんどん増やしていて、
完成からおおよそ3年未満の稼働率90%未満の建物が多く混ざっており
建物&設備1単位あたり売上が上がっていません

そのため、利益率も上がっていきません。



GDS社の開示資料でも、入居率(Utilization Rate)が90%には届いていなくて、
単価?(Average MSR)がやや下がっているところが
サンイービジョンとおそらく違うところではないかと。




<税引前利益の違い>

金利負担が違います。



両社とも新しいデータセンターを作るときに
借入をしていますが、金利が違いすぎます。

GDS社は7%~8%の金利で借入をしています。


ちなみに、仮にGDSの金利がサンイービジョン並みでも、
税引前利益は赤字になると思います。

■まとめ


2021年に黒字化のコンセンサス予想になっています。

とはいえ、まだまだ建設中やパイプラインが多くて
本当に黒字化されるかよくわからないです。



現状は、完成したばかりのデータセンターの減価償却費負担が重く、金利負担も重い。
一方で、顧客の入居待ちが多くて厳しい時期かと思いました。


稼働中(In Service)の割合がもっと多くなれば
黒字化される(してほしい)ので、
それを待ってから株の購入を検討しても遅くないような気がしました。



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2020/01/14

(09988:BABA)アリババ


(09988:BABA)アリババについて

中国のIT(アリババ)を調べた結果が、twitter上に散らかってしまったので
ブログ主なりに、いったんまとめておくことにしました。


なお、子会社の多さや、内容の難しさ、未来を予測する力が
ブログ主の理解キャパを越えるので、
株の購入は想定していません。


予想PER 31倍
予想配当利回り 0.0%
時価総額 約67兆円


■どんな会社?


事業部門構成でよくみかける図です。


個別の事業を解説しているものはたくさんあるので、省略します。


四半期の事業ごと業績推移です。





この中で、売上高が大きいオンライン取引(Core Commerce)事業、
売上高成長率が高いクラウド(Cloud Computing)事業に注目しました。




■オンライン取引(Core Commerce)事業


<結論>

・中国のオンライン取引は、金額、割合ともに世界最大で未知の世界
・アリババのシェアは50%越え
・売上高成長率は鈍化傾向
・ユーザー数(MAU)の成長は限界が見えてきた?

<中国全体に占める割合>

アリババ社の規模を、中国政府統計と比較してみます。

なお、アリババ社は中国外?の売上として
International commerce retail、International commerce wholesale
がありますが、オンライン取引売上の10%未満なので、
以降では中国内と同じものとして考えています。




※情報ソース
・GDP:world bank
・民間消費(Private Consumption):ceic data
・オンライン取引総額(online retail sales of Goods and services):中国政府
・アリババ社のデータ:アリババ社のwebサイト


各データの関係性はおそらく下記のような関係性で大きく違わないと思います。



中国のオンライン取引は
「2.民間消費全体」に占める「3.オンライン取引総額」の割合が23.5%で、
金額、比率ともに世界最大です。


下記、マッキンゼー社も同様なことを示しています。




その中で、こちらのサイトによると アリババのECマーケットシェアは2019年末に
55.9%を占めると見られています




<売上高成長率>

中国全体のオンライン取引総額、アリババの成長率推移です。




2017年をピークに成長率はやや鈍化傾向


アリババのシェアが高いので、
中国政府の統計がアリババ指数になっている可能性も否定できません。

中国政府統計は毎月発表されますので、
アリババの月次の代わりに使えるかもしれません。




今後ののびしろが、どのくらいになるかわかりませんが、
2018年にオンライン取引比率の傾きが少し緩やかになっており、
2019年の中国全体の成長率も低いことから
ある割合に収束に向かっているように感じます。


<ユーザー数(MAU)>

アリババのユーザー数(MAU)、中国でおそらく最も使われている
テンセントのWeixin and WeChatユーザー数(MAU)、
中国の総人口を比較してみました。




これまでは、ユーザー数の増加による成長がありました。

中国の総人口を最大と考えても2倍にはならないことから、
ユーザー数はあと数年で成長限界に達する可能性が考えられます。


なお、有名な「Ant Financial:アリペイの会社」はアリババが33%株主。
アリペイのユーザー数(2019/6/30時点)は、世界で12億人。
うち、9億人が中国から。









■クラウド(Cloud Computing)事業


アリババのクラウド事業は、中国以外にも進出しているようです。




中国に限ってみると、
DBS社によると、2016年でシェア41%




canalys社によると、2019年3Qでシェア45%




2018年時点で、世界3位の規模、
2019年8月時点で、中国上場企業の59%がアリババクラウドの顧客と、
決算書に記載されています。

シェアや世界展開の観点から、今後の成長事業はこの事業だと感じます。



なお、データセンター専業のGDS社(中国)と、
データセンター+クラウドのアリババ社をいちがいに比較できないですが、

アリババ社、EBITAが赤字に対して、
GDS社、EBITAなら黒字というのはちょっと気になるところ。





■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2016年2017年2018年2019年2020年
(2Qまで)
Revenue
売上
101,143
(-)
158,273
(+56%)
250,266
(+58%)
376,844
(+50%)
233,941
(+40%)
Net income attributable
to ordinary shareholders
最終利益
71,460
(-)
43,675
(-38%)
63,985
(+46%)
87,600
(+33%)
93,792
(+226%)
Net cash provided by operating activities
営業CF
56,836 82,854 125,805 150,975 67,524
Net cash used in investing activities
投資CF
-42,831 -79,579 -83,764 -151,060 -103,254
Net cash provided by financing activities
財務CF
-15,846 32,914 20,359 -7,392 804
Acquisitions of Land use
rights and construction in progress
relating to office campus
設備投資1(投資CF)
-5,407 -5,326 -4,027 -3,146 -
Acquisitions of Other
property and equipment,
intangible assets and licensed copyrights
設備投資2(投資CF)
-5,438 -12,220 -25,809 -46,497 -
Acquisitions of investment securities
証券投資1(投資CF)
-15,363 -4,677 -11,872 -72,472 -
Acquisitions of equity investees
証券投資2(投資CF)
-37,625 -39,429 -53,742 -11,860 -
Cash paid for business combinations,
net of cash acquired
証券投資3(投資CF)
-1,495 -33,448 -515 -35,434 -
Repurchase of ordinary shares
自社株買い(財務CF)
-19,795 -13,182 -0 -10,872 -
Dividends paid
配当支払(財務CF)
-0 -0 -0 -0 -


投資CFが複雑なので、バランスシートの
投資系固定資産と思われる項目を抜粋しました。




のれん(goodwill)が目立ちます。

詳細がこちら。(2019年3末時点)





オンライン取引(Core commerce)、
動画&エンタメ(Digital media and entertainment)に
のれんが集中しています。


のれんの増え方が営業CFのかなりの割合を占めていて、
成長性が高そうな株を現時点では割高に買っているし、
今後も続くんじゃないか?ていうところに株購入をためらっています。
(株主還元にお金がまわってこない?)


のれんの観点から考えると、
この2事業がアリババの成功のカギを握っていると言えそうです。




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2020/01/10

(00062)載通国際控股 配当5.9%


(00062)載通国際控股について


実績PER 11倍
実績配当利回り 5.9%
時価総額 約1200億円


スケジュールはだいたい以下の通りです。
・12月末決算締め
・期末配当 権利落 5月下旬→支払 6月下旬
・中間配当 権利落 8月下旬→支払 10月中旬


■どんな会社?


香港をメインに、深セン、北京でバス、タクシーの運営を行います。
その他、商業/オフィスビルの賃貸も行います。



事業は主に4事業に分かれています。

1.香港路線バス(Franchised Public Bus Operations Division)
・The Kowloon Motor Bus
・Long Win Bus
KMB(Kowloon Motor Bus)は、
香港で2位、約25%のシェアを持っています。(1位は地下鉄)




2.香港臨時バス(Non-franchised Transport Operations Division)
・Sun Bus
・New Hong Kong Bus
Sun Busは貸切バス。New Hong Kong Busは、香港-深セン間を運行します。

3.ビル賃貸(Property Holdings and Development Division)

4.中国本土バス/タクシー(China Mainland Transport Operations Division)
深セン、北京で他社と共同で運行します。(持分50%未満)


■配当履歴


2000 1.580(-)
2001 1.860(+17%)
2002 2.030(+9%)
2003 2.030(+0%)
2004 2.030(+0%)
2005 2.030(+0%)
2006 2.030(+0%)
2007 5.530(+172%)
2008 1.350(-75%)
2009 2.350(+74%)
2010 1.350(-42%)
2011 0.600(-55%)
2012 0.600(+0%)
2013 0.600(+0%)
2014 0.900(+50%)
2015 1.200(+33%)
2016 1.250(+4%)
2017 1.250(+0%)
2018 1.200(-4%)
2019 0.300(中間まで)

配当金額に大きな増減があります。

要因は、2000年代まではバス運営と、不動産販売がメイン事業でしたが、
2013年までに不動産を売却し、現在はほぼバス運営のみとなっています。







■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2015年2016年2017年2018年2019年
(中間まで)
Revenue
売上
7779
(-)
7936
(+2%)
7887
(-0%)
8009
(+1%)
4073
(+3%)
Profit for the year
attributable to Equity
shareholders of the Company
最終利益
628
(-)
830
(+32%)
1294
(+55%)
720
(-44%)
302
(-2%)
Net cash generated from operating activities
営業CF
1740 1978 1768 1726 628
Net cash used in investing activities
投資CF
-2434 -3327 -652 -2736 -416
Net cash used in financing activities
財務CF
52 1333 -618 33 -109
Payment for the purchase of
other property, plant and equipment
設備投資(投資CF)
-2030 -1738 -1190 -1599 -392
Payment for the purchase of
investment property under development
設備投資(開発中)(投資CF)
0 -2152 -15 -51 -52
Payment for the purchase of
intangible assets
無形資産買収(投資CF)
0 0 0 -228 0
Dividends paid to equity
shareholders of the Company
配当支払(財務CF)
-3411 -3373 -244 -236 -191


2019年中間決算の売上は+3%の増収でした。
地道に新しいバス路線を開拓して顧客を増やしているようです。

設備投資は主に新しいバスの購入に使われます。


■事業別業績


事業別売上です。



香港の路線バス(KMB)が売上のほとんどを占め、
毎年1桁台前半の成長をしています。

中国本土事業は持分50%未満なので売上に含まれません。


事業別税引前利益です。



メディア事業は、2016年に売却しました。
金融は保有する債権からの利益です。

香港路線バス事業の利益増減が大きいです。
次に利益増減の要因を見ていきます。

■利益増減の要因分析


利益増減の要因をコスト面から分解してみます。



利益増減の要因は2つです。

・人件費の増加(グラフの青)
人件費が売上と比例するように増えています。

燃料費の増加(グラフの黄)
燃料費が2012年ごろ大きくなり、その後やや縮小、
2018年はまた大きくなる。という推移をたどっています。


燃料はディーゼル(軽油)です。

燃料費は市況に左右される部分が多いですが、
ディーゼル使用量削減のための取り組みをしています。


■燃料使用量削減の取り組み


環境規制の対策レベルを(Euro II/III)から(Euro V/VI)へ
バスを順次入れ替えています。

効果は、燃費が向上して、燃料使用量を23%~27%削減できると
当社の「annual report 2017」で説明しています。

The average energy use per kilometer of Euro V/VI buses was 23-27% less than that of Euro II/III buses.




2018年末時点で、約70%のバスが入れ替わりました。


その他、電気自動車や、バスの屋根にソーラーパネルを
設置する取り組みもありますが、現状は数十台レベルで割合は少ないです。

取り組みの結果、下記グラフのとおり
ディーゼル市況が高騰しても燃料費が
以前ほど増えない構造に変わったのではないかと思います。




■2019年下期は赤字?


とはいえ、香港デモの影響があり、
業績悪化は避けられないと考えています。


当社は月次公表がないものの、
香港地下鉄(MTR)が月次顧客数を公表しています。
前年比で2019年上期(1-6月)が+2.5%、下期(7-11月)が-14.2%でした。


2019年下期に-14.2%当社の売上が減少すると想定して(コストは前年と同じ)
ブログ主が予想をしてみました。



下期赤字になるのでは?という気がします。


過去の配当が業績連動だったことから、下期は無配の可能性が高そうです。


ただ、香港が正常に戻れば売上が戻り
コスト削減の効果等で利益が増え、
高配当をもらえる銘柄に戻る期待をもてそうです。


リスクは、地下鉄の路線が増えると顧客がそちらに流れることがあります。
(と、深セン事業が低調だったときにコメントされてました。)


環境対策をすることが、自社の利益に直接つながるという循環が
なんかいいなと応援したくなる気持ちになりました。



ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。





2020/01/03

2019年の運用成績と、保有銘柄


2019年の運用成績と、保有銘柄について

■運用成績

+9.8%でした。

(参考)
・ハンセン指数 +9.1%
・S&P500 +28.9%
・日経平均   +18.2%

公益株の保有割合が多いため、上昇相場だった2019年は、
指数に置いて行かれました。









■保有銘柄


2019年末時点、ブログ主の保有銘柄です。


2019年の取引

・新規買 (03319)雅居楽雅生活服務
・新規買 (PFF)優先株ETF
・追加買 (01052)越秀交通
・追加買 (01310)HKBN
・追加買 (D)ドミニオン
・追加買 (T)AT&T

・一部売 なし
・全株売 (PAYX)ペイチェックス


銘柄コード銘柄名業種予想配当利回り連続増配年数
中国00384中国ガス公益(ガス)1.8%10
00270粤海投資公益(水道)3.5%10
00066MTR運輸(鉄道)2.7%0
01038長江インフラ公益(電力)4.4%23
01052越秀交通運輸(道路)6.1%3
00002CLP公益(電力)3.7%5
00656復星国際コングロマリット3.5%3
01426SPRINGREITREIT7.2%0
03319雅居楽雅生活服務不動産1.2%0
02777富力地産不動産10.8%2
02607上海医薬医薬3.2%8
00939建設銀行銀行5.3%3
01310HKBN通信6.2%4
米国MOアルトリア生活必需品6.7%
VVISAソフトウェア0.6%
Dドミニオン公益(電力)4.4%
TAT&T通信5.3%
WBKウエストパック銀行銀行6.5%
PGP&G生活必需品2.3%
PFF優先株ETFETF5.6%