2019/01/31

Verizon と AT&T 2018年期末決算確認

VZ(Verizon) と T(AT&T)の2018年期末決算を比較確認します。

■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
VZT
2017年2018年2019年(予)2017年2018年2019年(予)
Operating Revenues
売上
126,034 130,863 +1%~+5%
Low single
-digit
160,546 170,756
Oath goodwill impairment
Oath社のれん減損
0 -4,591 0 0
Operating Income
営業利益
27,425 22,278 19,970 26,096
benefit for income taxes
税金
9,956 -3,584 14,708 -4,920
Net Income
最終利益
30,550 16,039 29,847 19,953
Diluted EPS
一株利益
7.37 3.76 横ばい 4.76 2.85 +1%~+5%
Low single
-digit
Cash Flows from
Operating Activities
営業CF
24,318 34,339 38,010 43,602
Cash Flows from
Investing Activities
投資CF
-18,456 -17,934 -17,000~
-18,000

Capital
spending
のみで
-18,943 -63,145 -23,000

capital
investment
のみで
Cash Flows from
Financing Activities
財務CF
-6,151 -15,377 25,930 -25,989
Free cash flow
営業CF-投資CF
5,862 16,405 19,067 -19,543 26,000
Dividends paid
配当支払
-9,472 -9,772 -12,038 -13,410

Verizon は、2018年にOath社(=Yahoo+AOL)ののれんを減損しています。
一般的に、のれんの減損は、企業価値が当初より下がった場合に行われます。

AT&T は、2017年に48,793の借入(財務CF)を行い、
2018年の買収費用(投資CF)にしています。


2019年は、会社予想(ガイダンス)の数字です。

Verizonは、売上を1ケタ台前半の増収を見込んでいます。
EPSは横ばいを見込んでいます。
設備投資を170億ドル~180億ドルを見込んでいます。

AT&Tは、売上の見込みは未発表です。
EPSは、1ケタ台前半の増益を見込んでいます。
設備投資を230億ドルを見込んでいます。

■事業別業績


Verizonは、無線(wireless)事業、有線(wireline)事業に分かれていて、
無線(wireless)事業が主力です。

AT&Tは、もう少し細分化されていて、
売上の大きなものだけで、5種類ほどあります。
TV等エンタメは、Verizonの有線事業に近いので、ここでは有線と考えます。
1.コミュニケーション(Communications)
 ・無線(Mobility)
 ・TV等エンタメ(Entertainment Group)
 ・有線(Business Wireline)
2.ワーナー(WarnerMedia)
3.ラテンアメリカ(Latin America)





最も売上の大きい無線事業ですが、
Verizonは、前年同期比+2%でした。
AT&Tは、前年同期比-2%でした。

AT&Tのワーナー事業は、前四半期比+12%でした。



■その他


米国のyahooニュースを見てると、
AT&Tは、無線事業の成長鈍化、エンタメ事業の利用者数減少で
敬遠しているという意見があります。

・無線事業の成長鈍化
四半期の加入者数推移(伸び率)が、鈍化しています。

143,832,000→146,889,000→150,252,000→153,006,000


・エンタメ事業(DirecTV)の利用者数減少
2年間は2500万人~2550万人を推移していましたが、急激に数が減りました。

25,369,000→25,449,000→25,152,000→24,494,000


Verizonも同様で、5Gの動画時代となるのに、メディア事業のOath社が
まったくうまくいっていないと敬遠しているような意見があります。


なお、ブログ主は、AT&Tを保有してますが、
5Gが普及してからのワーナーに期待してますので、
売却予定はありません。


2019/01/30

(03393)威勝控股 減配なし13年 配当5.7%

13年減配してない(03393)威勝控股について

予想PER 11倍
予想配当利回り 5.7%
時価総額 約570億円


スケジュールはだいたい以下の通りです。
・12月末決算締め
・期末配当 権利落 5月下旬→支払 6月中旬
※期末一括配当

中国 連続減配なし銘柄(10年以上)の一覧

■どんな会社?


エネルギー(電気、ガス、水道)のメーターを作る会社
メーターは、最新のスマートグリッドです。
検針員等が不要となるように、リアルタイムのデータ送受信を行えます。

研究開発にフォーカスしており、おそらく、自社で設計開発を行っています。
ハイエンド製品では、中国本土におけるシェアが20%をこえます。
当社の製品を使用することで、エネルギーの省エネ化等を促進できます。

<当社の製品>


















住居用の電気メーター的なもの?
設計寿命10年。




大規模蓄電池?
電池の寿命10年。




太陽光の電気メーター?



電気自動車の充電用電気メーター?


これらの製品を、Advanced Metering Infrastructure(AMI)と呼ばれる技術で
開発してきました。世界中でも10年ほど前から開発されてきていました。

<AMIの特徴>

一世代前のデジタル式電力計の技術は、米国の電力業界ではAutomated Meter Reading (AMR)と呼ばれる。
AMRが導入された電力事業者では、電力計に内蔵された赤外線通信機能などによって、
検針員が歩きながらセンサーの付いた自動検針器を電力計にかざして検針したり、
自動車に乗ったまま電力計の付近を通過することで消費電力データの収集を半自動的に行ったりしていた。

しかし、電力データの検針に人手が介在するという意味では、
従来型のアナログ電力計とそれほど大きな違いはない。検針の頻度も月に一回だけで、従来と変わらない。

AMRのこのような課題は、デジタル電力計に双方向通信機能を追加することによって解決された。
これが、スマートメーターである。スマートメーターやそれに接続された通信網などを含む、
電力消費データ取得に関連する基盤技術は、スマートグリッドではAdvanced Metering Infrastructure(AMI)と呼ばれる。

スマートメーターやAMIの仕組みは、電力消費データを、人手を介在せず自動的に計測し、
毎日あるいは毎時間といった多頻度で電力事業者に送信することを可能にした。
これによって、従来は困難であったピーク需要時の電力需要動向のリアルタイムでの把握、
時間帯や電力需要によって動的に変動する電力料金プランの設定と適用、
それに基づく電力需要抑制やピークシフトといったデマンドレスポンス(需要応答)の操作までを
すべて自動化することができるようになったのである。



ニュースサイト「産業イノベーション」より

■配当履歴


2005 0.05512
2006 0.07000(+26%)
2007 0.09000(+28%)
2008 0.11000(+22%)
2009 0.11000(-)
2010 0.11000(-)
2011 0.15000(+36%)
2012 0.18000(+20%)
2013 0.21000(+16%)
2014 0.24000(+14%)
2015 0.24000(-)
2016 0.24000(-)
2017 0.24000(-)

2005年のみ人民元表記。0.06~0.07香港ドルくらいになります。
2006年以降は、香港ドル表記。

■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2013年2014年2015年2016年2017年
Revenue
売上
2412
(-)
2811
(+16%)
2969
(+5%)
2607
(-12%)
2927
(+12%)
Profit attributable to
owners of the Company
最終利益
401
(-)
482
(+20%)
423
(-12%)
307
(-27%)
301
(-2%)
Net cash from operating activities
営業CF
267 50 768 5 608
Net cash used in investing activities
投資CF
-167 -234 -550 -114 -19
Net cash used in in financing activities
財務CF
-132 -41 466 -141 -121
Administrative expenses

Selling expenses
販売管理費(営業CF)
-356 -373 -387 -396 -466
Research and development expenses
研究開発費(営業CF)
-134 -112 -143 -147 -181
Decrease in trade and other receivables
売掛金(営業CF)
-256 -650 -427 -425 170
Increase in trade and other payables
買掛金(営業CF)
37 129 658 44 161
Expenditure on intangible assets
無形資産支出(投資CF)
-43 -71 -99 -125 -162
Investment in available-for-sale investments
有価証券投資(投資CF)
-100 0 -54 -68 -140
Purchase of property, plant and equipment
設備投資(財務CF)
-30 -122 -226 -124 -49
Dividend paid
配当支払(財務CF)
-133 -157 -191 -206 -204


売上は増えたり減ったりですが、最終利益は減少傾向です。
販売管理費、研究開発費の増加が売上の増加以上のペースであることが要因と思われます。

研究開発費ですが、内容によって費用計上したり、資産計上したりするようで、
無形資産支出のうち6割くらいが研究開発をしめています。
売上の約1割が研究開発費になっています。

売掛金、買掛金の増減が年によって大きく異なり、営業CFが大きくブレがちです。

■事業構成


3事業から構成されています。

・Power Advanced Metering Infrastructure (“Power AMI”)


AMIで作られた電力計事業。大唐等の5大発電会社が発電した電気を
中国全土へ送電を行っている「中国南方電網(中国南部担当)」、
「国家電網(中国南部以外担当)」へ入札して納入しているようです。


・Communication and Fluid Advanced Metering Infrastructure (“Communication and Fluid AMI”)


AMIで作られた水道計事業。「1家に1メーター」の方針で拡大中。


・Advanced Distribution Operations (“ADO”)


鉄道、データセンター、水道等でスマート配電システムの運営を行います。
スマート配電システムの規格の確立に参加した5つの企業のうちの1つです。



3事業の事業別売上の推移を確認します。

・事業別売上
2015年2016年2017年2018年(中間まで)
Power AMI
電力計事業
1919 1590 1591 893
Communication and Fluid AMI
水道計事業
622 504 755 503
ADO
配電システム運営
426 514 581 258

2018年通期の売上見通しですが、
2018年下期の売上が上期と同程度であれば、前年比15%程度の増益になります。

利益については、販売管理費等が増加傾向ですので、利益率が改善するか不明ですが、
中間時点から考えると前年同期比横ばいくらいになりそうです。

■感想


売上面について、
事業内容が「13次5カ年計画」や「中国製造2025」に合いそうで増収の期待はできますが、
2017年から2018年の10月ごろまでは「国家電網」等の電力投資が絞られていたという報道もあり、
先行きが不透明な印象がありました。(11月以降は投資が急増しているそうです。)


一方で、利益面でも「Advanced Metering Infrastructure」で検索すると
(たとえば東芝等、中国以外も含めて)無数の会社が検索されます。
競合が多く利益が出にくいのかなと感じます。


とはいえ、PERの割安さや、配当利回り的にはかなり魅力的な水準ですので、
成長性やキャッシュフローが安定するまで、しばらくウォッチしていきたい銘柄です。


2019/01/26

(00374)四洲集団 減配なし16年 配当8.1%

16年減配してない(00374)四洲集団について

実績PER 5倍
実績配当利回り 8.1%
時価総額 約220億円


スケジュールはだいたい以下の通りです。
・3月末決算締め
・期末配当 権利落 8月下旬→支払 9月下旬
・中間配当 権利落 12月中旬→支払 1月中旬

中国 連続減配なし銘柄(10年以上)の一覧

■どんな会社?


1971年の創業以来、香港、中国本土でよく知られたブランドとして
スナック菓子、飲料等を販売しています。



事業は、3つの事業から構成されます。

・食品代理販売事業。商品は20以上の国や地域からあつめられています。
・食品製造事業。香港や、中国本土に19の加工工場を有しています。
・小売・ケータリング事業。日本の「Okashi Land(零食物語)」、「YOKU MOKU」、
「Calbee PLUS」等を展開します。


日本食を広めるのが、当社の主ビジネスです。

■配当履歴


2000 0.053
2001 0.046(-14%)
2002 0.066(+43%)
2003 0.066(-)
2004 0.066(-)
2005 0.070(+6%)
2006 0.070(-)
2007 0.070(-)
2008 0.070(-)
2009 0.070(-)
2010 0.070(-)
2011 0.070(-)
2012 0.070(-)
2013 0.070(-)
2014 0.080(+14%)
2015 0.095(+18%)
2016 0.095(-)
2017 0.395(+315%) ※うち0.300香港ドルが特別配当
2018 0.345(-13%) ※うち0.250香港ドルが特別配当

2018年に特別配当の減少により、減配となっていますが、
普通配当部分は変更がないため掲載しました。

■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2014年2015年2016年2017年2018年
Revenue
売上
2910
(-)
2907
(0%)
2941
(+1%)
2948
(0%)
3002
(+1%)
attributable to
Equity holders of the Company
最終利益
160
(-)
140
(+4%)
45
(+17%)
50
(+8%)
347
(+45%)
Net cash flows from operating activities
営業CF
181 87 -43 76 81
Net cash flows from investing activities
投資CF
25 -146 0 118 282
Net cash flows used in financing activities
財務CF
-70 88 74 -142 -416
Purchases of items of property
plant and equipment
設備投資(投資CF)
-59 -84 -93 -82 -53
Net proceeds from disposal of assets
held for sale
資産売却(投資CF)
0 0 0 0 328
Disposal of subsidiaries
子会社売却(投資CF)
0 0 0 132 0
Dividend paid
配当支払(財務CF)
-27 -34 -36 -36 -151


売上は安定していますが、利益は変動が大きいです。
子会社売却(2017年)や、不動産売却(2018年)が影響しています。

この2つの利益が特別配当のもとになったのでしょう。
とすると、2019年以降の配当は特別配当がなくなり、
通常運行の「0.095香港ドル」程度に戻るのではないかと推測します。
配当利回りにすると、2~3%くらいですね。
営業CF(約80)と比べてみても、特別配当の水準(約150)を支払うのは難しそうです。

■売上成長は?


“Based in Hong Kong, Reaching for the Mainland”ということで、
中国本土への進出を成長の軸と掲げています。
広東への進出や、e-コマース(タオバオやJD.com等)で広げていきます。


過去5年間の推移を確認してみました。



中国本土の売上が目立って伸びている感じはなく、
年によっては赤字になっています。


資産も設備や在庫があまり変わりません
売上成長にはまだ時間がかかりそうです。

■感想


実績配当利回りの高さと、なじみの深い日本の食品を取り扱っていることから、
調べてみましたが、業績や配当は横ばいのイメージの会社でした。
特別配当なしで、配当利回り2~3%の現水準がこの銘柄のちょうどいい水準かと。


本記事の執筆中(2019/1/25)に株価15%upと上昇していますが、
特にニュースもなさそうで。
売買代金が100万円程度でもこんなに騰がってしまうのですね。

他の成長銘柄と比べてしまうと、
出来高も少なく積極的には買い難い印象です。


2019/01/24

(00694)北京首都国際機場 連続増配7年 配当4.5% 後編


前編の過去の業績確認に引き続き、
各種制度変更の影響考察と、業績予測をしていきます。


■「民航発展基金」廃止の影響


売上をセグメント別に分解して基金からの収入を見てみます。
「Airport Fee」という項目の説明が、以下のように記載されていますので、
これが基金からの収入と考えてよさそうです。

The charge rates of the Airport Fee (Note 2(w)) are regulated by relevant authorities and the Company recognises the revenues of the Airport Fee according to the authorised charge rates attributable to the Company on the Airport Fee collected by the CAAC from outbound passengers.

・セグメント別売上
2013年2014年2015年2016年2017年2018年
航空民航発展基金 1065 1091 1142 1201 1221
航空料金 1494 1575 1663 1745 1951
旅客料金 1641 1701 1787 1889 1927
非航空小売、
駐車場等
3023 3288 3916 3892 4473
合計 7224 7655 8509 8729 9574 (ブログ主予想)
10256
ご参考旅客者数 8371万人 8612万人 8993万人 9439万人 9578万人 1億0098万人
単価

民航発展基金
の売上除く
73.5 76.2 81.9 79.7 87.1

グラフにするとこの形になります。



「民航発展基金」は航空部門の売上の25%を占めています。
「民航発展基金」を除く平均的な売上成長率は約8%です。

旅客者数の平均的な伸び率は約5%です。
旅客者数は2018年分まで開示されています。

単価は、民航発展基金を除く売上を、旅客者数で割って当ブログで算出しています。
単価の平均的な伸び率は約4%です。


2018年の単価も4%伸びたと仮定した場合の2018年売上(ブログ主)予想は、
9156百万人民元+基金受取(1100百万人民元?)くらいと予想しました。
旅客者数の伸びと、単価の伸びで3年程度で基金の廃止影響を吸収できると期待します。


■「北京大興国際空港」の影響


中国政府系航空部門のこのサイトによると、
新空港「北京大興国際空港」の利用者目標を

2021年:4500万人
2025年:7200万人

としています。
それにより、「北京首都国際空港」は8200万人の旅客者数に緩和することを目標にしています。

この目標が達成できることと、旅客者数全体が5%ずつ増えていくことを前提に
ブログ主のほうで適当に旅客者数を組み合わせてみました。

・旅客者数 予測
北京首都国際空港北京南苑空港北京大興国際空港
20138371万人500万人
20148612万人500万人
20158993万人500万人
20169439万人500万人
20179578万人500万人
201810098万人500万人
201910000万人1100万人
20209000万人2700万人
20217700万人4500万人
20227700万人5200万人
20237800万人5900万人
20248000万人6400万人
20258200万人7200万人



2022年ごろまでに新空港への移行が終わり、その後はもとのペースに戻るようなイメージです。

■感想


これまで考察したことをもとにブログ主のほうで、売上や、EPS、DPSを予想してみました。
(注 こういうのは、だいたい当たりません。)




キャッシュフローで考えると減配しなくてもすむかもしれませんが、
当社はEPSと配当性向から、配当を決める方針なので、
おそらく2019年以降は減配するのでしょう。

EPSや、DPSが40%くらい減ると、株価7HKDくらいで
PERが15倍前後、配当が2~3%くらいです。
そこまで魅力的な水準ではないような感じがします。


2019/01/23

(00694)北京首都国際機場 連続増配7年 配当4.5% 前編

連続増配7年を継続中の(00694)北京首都国際機場について

長文なので、前編、後編にわけました。

前編は、過去の業績確認
後編は、未来の業績予測


・予想PER 8倍
・予想配当利回り 4.5%
・時価総額 約1900億円

スケジュールはだいたい以下の通りです。
・12月末決算締め
・期末配当 権利落 7月下旬→支払 8月下旬
・中間配当 権利落 9月中旬→支払 11月中旬

中国 連続増配銘柄(5年~9年)の一覧

■どんな会社?


旅客者数が世界2位の「北京首都国際空港」を運営します。
「北京首都国際空港」は、国内線、国際線を運航。
2018年の旅客者数は約1億人
滑走路は3本あります。


北京には他に「北京南苑空港」がありますが、
旅客者数は約500万人、滑走路は1本と小規模です。


2019年9月にライバルとなる「北京大興国際空港」がオープンする予定です。
「北京大興国際空港」は、「北京首都国際空港」の需要急増に応えるために建設されています。
オープン当初は滑走路4本、最終的に7本になる予定です。
2年半で移行する予定のようです。


その他のニュースとして、政府系機関から売上として受け取っていた「民航発展基金」が
2018年11月で廃止になります。


日本の空港銘柄と比較

00694
北京首都国際機場
9706
日本空港ビルデング
空港北京首都国際空港羽田空港
(実績)売上1537億円2259億円
(実績)最終利益417億円117億円
(予想)PER8.79.8
(予想)配当4.5%1.1%

似てますね。

■配当履歴


   人民元  香港ドル
2000 0.05710 0.06567
2001 0.08360 0.09614(+46%)
2002 0.06576 0.07562(-21%)
2003 0.05300 0.06095(-19%)
2004 0.08990 0.10339(+69%)
2005 0.11300 0.12995(+25%)
2006 0.12754 0.14667(+12%)
2007 0.13245 0.15232(+3%)
2008 0.00000 0.00000(-100%)
2009 0.03388 0.03896(-)
2010 0.00000 0.00000(-100%)
2011 0.07717 0.08875(-)
2012 0.10830 0.12455(+40%)
2013 0.12270 0.14111(+13%)
2014 0.12850 0.14778(+4%)
2015 0.15160 0.17434(+18%)
2016 0.16450 0.18918(+8%)
2017 0.24020 0.27623(+46%)


※会社が発表している単位は人民元です。
1人民元=1.15香港ドルで計算した場合の配当を右に記載しました。

Dividend policy of BCIA? The Board of the company decide dividend policy depending upon the fund requirements for development of the company’s business annually. Since its listing, the company has maintained stable dividend policy, about 50% of net profits as dividends.

配当性向は50%の方針と(2007年ごろ?)書かれてますが、近年は40%です。

2回無配があります。
無配のあたりの業績を確認するため、グラフを掲載します。
業績と連動してますね。




■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2013年2014年2015年2016年2017年
Revenue
売上
7224
(-)
7655
(+5%)
8509
(+11%)
8729
(+2%)
9574
(+9%)
Operating expenses
営業費用
-4847 -5171 -5603 -5786 -6025
Income tax expense
税金
-446 -467 -551 -595 -869
attributable to
Equity holders of the Company
最終利益
1329
(-)
1391
(+4%)
1641
(+17%)
1781
(+8%)
2600
(+45%)
Net cash generated from operating activities
営業CF
3264 3264 4157 4610 4271
Net cash used in investing activities
投資CF
-400 -542 -2405 -138 -544
Net cash used in financing activities
財務CF
-2611 -2590 -1826 -2052 -6641
Purchase of property, plant and equipment
設備投資(投資CF)
-480 -548 -1874 -159 -637
Interest paid
利息支払(財務CF)
-610 -549 -584 -393 -385
Dividend paid
配当支払(財務CF)
-497 -532 -601 -679 -820

営業CFで稼いだお金を設備投資、利息支払、配当支払に使用しています。
それでも余った分は、負債の返済に充てています。
その結果、利息支払額は毎年減少傾向にあります。


後述する「業績の予測」に使いますが、
廃止される「民航発展基金」の売上をのぞいた部分に対する
売上高営業費用率は72%です。近年は徐々に減少傾向です。

税金は税引前利益に対して25%支払っています。



後編で、「北京大興国際空港」のオープンによる影響と、
「民航発展基金」廃止の影響を書いていきます。


2019/01/20

(00032)クロスハーバー 減配なし15年 配当3.2%

15年10年減配してない(00032)クロスハーバーについて

実績PER 3倍
実績配当利回り 3.2%(四半期配当)
時価総額 約600億円


スケジュールはだいたい以下の通りです。
・12月末決算締め
・第一配当 権利落 6月下旬→支払 6月下旬
・中間配当 権利落 9月初旬→支払 9月中旬
・第三配当 権利落 12月中旬→支払 12月下旬
・期末配当 権利落 5月下旬→支払 6月初旬

中国 連続減配なし銘柄(10年以上)の一覧

■どんな会社?


香港で、高速道路運営、自動車教習所、トンネル運営を行います。

高速道路は、ETCシステムを運営しています。
当社のETCタグをつけた車が、香港の高速道路を利用することで収入が決まるようです?

自動車教習所は、3件運営しています。

トンネル管理は、「Western Harbour Tunnel」「Tate’s Cairn Tunnel」がメインです。
世界で最も混雑する道路の一つといわれている「Cross-Harbour Tunnel」を
管理する目的で1965年に設立された当社ですが、
所有管理権が1999年に終わり、「Cross-Harbour Tunnel」が香港政府に戻りました。
ところが、政府との運営契約を行い運営は2010年まで当社が続けていたようです。
「Central-Wanchai Bypass」が2019/1/20にオープンしました。


各事業は、子会社への投資を通じて行っています。



■配当履歴


2000 0.200
2001 0.200(-)
2002 0.200(-)
2003 0.200(-)
2004 0.250(+25%)
2005 0.280(+12%)
2006 0.300(+7%)
2007 0.240(-20%)
2008 0.300(+25%)
2009 0.300(-)
2010 0.300(-)
2011 0.300(-)
2012 0.300(-)
2013 0.300(-)
2014 0.330(+10%)
2015 0.350(+6%)
2016 0.350(-)
2017 0.380(+8%)

四半期配当がポリシーになっており、2000年から続いています。
以前は、第一四半期配当が7月ごろでしたが、早期化し、
期末配当が5月ごろから6月ごろに変わってきており、
6月に2回配当を受け取るスケジュールになっています。



■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2013年2014年2015年2016年2017年
Revenue
売上
290
(-)
343
(+18%)
397
(+15%)
431
(+8%)
461
(+6%)
Profit for the year attributable to
Equity shareholders of the Company
最終利益
440
(-)
472
(+7%)
619
(+31%)
410
(-33%)
1180
(+187%)
Net cash generated from operating activities
営業CF
81 88 99 123 79
Net cash generated from investing activities
投資CF
450 655 267 848 423
Net cash used in financing activities
財務CF
-144 -145 -154 -165 -164
Payments for purchase of property,
plant and equipment
設備投資(投資CF)
-3 -21 -53 -32 -31
Payments for purchase of
available-for-sale securities
trading securities
有価証券投資(投資CF)
-9 -150 -467 -215 -243
Dividends received from associates
配当受取(投資CF)
414 649 684 761 804
Dividend paid
配当支払(財務CF)
-111 -111 -124 -129 -129

売上よりも関連会社等からの配当受取金額のほうが多く2倍近くあります。
サラリーマン的な例えをすると、給料より、投資の配当金のほうが多いという状態です。
かなり有価証券の保有が多いことが推測されます。

バランスシートを確認しました。
現金と有価証券だらけです。



主な有価証券投資先の投資状況を整理しました。



画像が小さくて見づらい場合は、下の簡易表をご参照ください。
全社に占める各事業(主な関連会社)の貢献割合が見えてきます。

全社教習所トンネル高速道路
売上461402
その他利益605133
持分法投資利益596596
最終利益1180
営業CF79
配当受取(持分法)804804
配当受取(合弁)55
配当受取(上場)6
配当受取(非上場)8
投資CF423
財務CF-164
現金残高3018
会社コメント
2017末時点見通し
市場縮小
見通し
WHTCL:
所有管理権2023年まで
TCTCL:
所有管理権2018/7まで
成長横ばい
or減少

売上構成で考えますと、教習所の売上が9割近くで主力事業に思えますが、
利益やキャッシュフローから考えますと、トンネル事業が主力事業に思えます。
高速道路のETCシステムは比率としては低いでしょう。


2017年期末の会社コメントですが、教習所は市場縮小見通しと書いています。
Though the economy is expected to continue to display strength, the outlook on the driving training industry, however, does not appear to be ecstatic in the coming year as the market size is expected to shrink after the continued upward trend in the last ten years and price competition among driving school operators remains vigorous.

トンネル事業は、Western Harbour Tunnel(WHTCL)が2023年まで
Tate’s Cairn Tunnel(TCTCL)が2018年までの所有管理権と書いています。
TCTCLは権利がすでに切れていますが、その後の取り扱いは見つけられませんでした。
かつてのクロスハーバートンネルのように、香港政府と運営契約を別途結んでいるかもしれません。

■感想


当社の投資内容がとても複雑です。

ざっくりとしたイメージは、関連会社からの配当をもらい、
そのお金を株に再投資しています。
株主にもその中から安定的な配当を支払っています。

ですので、株の投資損益、評価損益で当社の利益は大きく左右され利益予想が困難です。
事業の将来会社見通しが悲観的なところもあります。
現状のPERが割安に放置されていますが、
こういう複雑さが投資を敬遠される理由なのでは?と推測します。


株価の値上がりが期待できないとなると、配当ですが、
現状のキャッシュフロー収入と、現金残高から考えると、
もっと配当を出してもらいたい感じがします。
ほかの高速道路株と同じかそれ以上に配当6%以上~くらい出してくれると
投資を考えてみたいという感想です。


2019/01/17

毎年、売上より利益が大きくなる理由

感覚的に

売上-費用=利益

だから、一般的には、売上より利益は小さくなりますよね?

ある中国企業の決算をみていて、毎年、売上より最終利益が大きい会社がありました。
(この条件にあてはまりますが(01038)長江インフラではありません。)

例えば、

・売上  :100
・営業利益:20
・特別利益:300
----------
・最終利益:320

のような決算をしている会社です。

バランスシートを見ていて、PERや配当性向の有効性がややこしかったので、
ブログ主の頭の整理のため
どういう要因で起きるのか考えてみました。

※注意事項 以降ででてくる図や表は大枠をとらえるために
条件や内容等、実際のルールをかなり簡素化しております。
ですので、あてはまらないケースはたくさんあります。


■連結決算の場合分け


条件取り扱い
50%をこえる投資連結子会社
20%~50%投資持分法
20%未満の投資売買目的有価証券
or
売却可能有価証券

※実際の条件はもっと複雑です。

■連結子会社


図の矢印は連結決算時に影響される項目を表しています。

親会社は、子会社へ(50%~)投資します。

連結決算のときに子会社のバランスシートや損益計算書の内容が
親会社のほうへ合算され、開示されます。
投資分の株式は合算時に相殺され出てきません。

売上-費用=利益 となりやすく、直感的にわかりやすいです。

■持分法


親会社は持分法(20%~50%の範囲)で投資します。

連結決算のときに投資先の最終利益が持分に応じて親会社のほうへ合算されます。
売上等の情報が親会社の決算書に出てこないです。
このようなケースでは、「たとえば小売業における店舗数」といった情報が
開示されないということがあり得そうです。

持分法の利益が、全体利益の大部分を占めるようなケースでは、
今後の売上予想を考える場面で不確実な経営情報が多く、リスクが高いと考えられます。

また、持分法会社からの配当が大きい場合は、
キャッシュフロー計算書に記載される金額が、親会社の売上をこえることがあります。
親会社が株主へ配当を支払う際の強い元手になるかもしれません。

■有価証券投資



親会社は売買目的等(20%未満)で投資します。

連結決算のときに投資先の配当が親会社の利益へ合算されます。
おなじく、売上等の情報が親会社の決算書に出てこないです。
売上等の経営情報が少なくなりそうなのがリスクと考えられます。

投資先からの配当が大きい場合は、親会社の売上をこえることがあります。

有価証券が値上がりして評価益が大きい場合は、親会社の売上以上の利益となることがあります。
感覚的に、有価証券の評価損益は配当受取と比較すると一時的な要因となりがちな感じがします。

■まとめ


投資の割合が連結子会社(50%)に届かない範囲の投資がメインとなっている企業では、
利益が膨らんでいくケースがあります。
バランスシートの現金と、有価証券が大きくなりそうです。
投資先の経営情報開示が十分ではない可能性がリスクです。



これらの点を考慮して配当が持続可能であるのか等考えて投資をするのがよさそうです。


2019/01/15

(00900)イオンクレジット 減配なし18年 配当6.1%

18年減配してない(00900)イオンクレジットについて

実績PER 7倍
実績配当利回り 6.1%
時価総額 約400億円


スケジュールはだいたい以下の通りです。
・2月末決算締め
・期末配当 権利落 6月下旬→支払 7月中旬
・中間配当 権利落 10月中旬→支払 10月下旬

中国 連続減配なし銘柄(10年以上)の一覧

■どんな会社?


日本のイオングループ。
香港で、クレジットカード、ローン、保険事業を行います。

日本のイオンのイメージですが、店舗内でイオンカードの営業を
しているイメージがあります。
そこで、イオン香港(00984)が香港でどのくらい普及しているのか、
店舗数を調べました。

60店舗以上ありました。
東京+神奈川+埼玉の店舗数とほぼ同じです。



■配当履歴


2000 0.115
2001 0.125(+8%)
2002 0.130(+4%)
2003 0.130(+0%)
2004 0.140(+7%)
2005 0.160(+14%)
2006 0.180(+12%)
2007 0.260(+44%)
2008 0.300(+15%)
2009 0.320(+6%)
2010 0.320(+0%)
2011 0.320(+0%)
2012 0.340(+6%)
2013 0.350(+2%)
2014 0.350(+0%)
2015 0.360(+2%)
2016 0.360(+0%)
2017 0.380(+5%)
2018 0.420(+10%)

■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2014年2015年2016年2017年2018年
Revenue
売上
1164
(-)
1295
(+11%)
1258
(-3%)
1228
(-3%)
1276
(+3%)
Profit for the year attributable to
owners of the Company
最終利益
221
(-)
282
(+27%)
249
(-12%)
298
(+19%)
371
(+24%)
Net cash from operating activities
営業CF
-176 360 360 532 305
Net cash used in investing activities
投資CF
-59 -139 -26 6 -21
Net cash used in financing activities
財務CF
215 -427 -274 -280 -172
Impairment losses and
impairment allowances
立替金減損損失&
引当金(営業CF)
314 348 301 283 241
Increase in advances and receivables
立替金(営業CF)
-766 -376 -264 -117 -339
Interest paid
負債利払(営業CF)
-97 -96 -94 -91 -86
New bank loans raised
負債借入(財務CF)
65731 64184 7628 1362 90
Repayment of bank loans
負債返済(財務CF)
-65485 -64641 -7751 -1347 -240
Dividend paid
配当支払(財務CF)
-146 -150 -150 -150 -167

売上、最終利益ともにやや増加傾向と言えますかね。
もう少し様子を見たいところです。


売上の9割以上が「Interest income(金利収入)」です。
「Interest income(金利収入)」の元になっているものが、
おそらく「advances and receivables(立替金)」です。
営業CFの「Increase in advances and receivables(立替金の貸付)」が増えると
将来の売上が増えるものと思われます。


データで確認しますと、
2014年~2015年にかけて営業CFが-766と大きめのマイナスを計上していますが、
その翌年の売上増加幅は大きくなっています。


また、負債利払が年々じょじょに減っています。
この減少分だけ配当支払額が増えているイメージですね。


・バランスシート
Advances and receivables
立替金
Bank Borrowings
銀行借入負債
(借入金利)
2014年 5267 2285
(1.2%-3.4%)
2015年 5289 1828
(1.2%-3.4%)
2016年 5245 1705
(1.4%-3.1%)
2017年 5070 1721
(0.65%-2.57%)
2018年 5183 1575
(1.68%-2.64%)
2019年(中間) 5106 1531
(1.68%-2.64%)

バランスシートの大部分をしめる立替金と、
銀行借入負債をもう少し詳細にみてみました。


立替金はやや減少傾向にありそうです。
ブログ主のイメージですが、

売上=立替金(貸付金)×貸付利率

と考えていますので、減少傾向は当社にとってマイナスととらえています。


銀行借入負債も減少傾向にあります。
おそらくこのお金が立替金(貸付金)の元手になるのでは?と推測しました。
こちらも、減少傾向は当社にとってマイナスととらえています。
上記カッコの中のパーセントは、当社が借りるときの金利で、レンジで開示されています。
借入額と利率の関係で、金利負担は減りますね。

■感想


利益率の高さや、配当利回りの高さもあって、
決算内容を確認してみましたが、
売上見通しが減っていく確率がそこそこ高そうな印象でした。
投資の魅力の観点で、そこが他社より低いかもしれません。


「貸付が増える(=営業CFがマイナスになる)」や
「借入が増える」があれば、逆にポジティブな印象になりそうです。
そのときに当社への投資を検討していきたいと思います。


2019/01/13

(00270)粤海投資 連続増配9年 配当3.5%

連続増配9年を継続中の(00270)粤海投資について

予想PER 19倍
予想配当利回り 3.5%
時価総額 約1兆4000億円


スケジュールはだいたい以下の通りです。
・12月末決算締め
・期末配当 権利落 6月下旬→支払 7月下旬
・中間配当 権利落 10月初旬→支払 10月下旬

中国 連続増配銘柄(5年~9年)の一覧

■どんな会社?


香港や、広州近隣で水道事業を中心に、
不動産、デパート、ホテル、道路の運営を行います。
※各事業の詳細は当社の決算プレゼン資料で後述します。

■配当履歴


2004 0.060
2005 0.090(+50%)
2006 0.100(+11%)
2007 0.110(+10%)
2008 0.100(-9%)
2009 0.110(+10%)
2010 0.150(+36%)
2011 0.180(+20%)
2012 0.200(+11%)
2013 0.230(+15%)
2014 0.280(+21%)
2015 0.340(+21%)
2016 0.420(+23%)
2017 0.485(+15%)

■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2013年2014年2015年2016年2017年
Revenue
売上
7990
(-)
8426
(+5%)
9171
(+8%)
10464
(+14%)
12168
(+16%)
Profit for the year attributable to
owners of the Company
最終利益
4426
(-)
4397
(-1%)
3905
(-12%)
4212
(+7%)
5685
(+34%)
Net cash flows from operating activities
営業CF
4716 5184 5429 6098 5071
Net cash flows used in investing activities
投資CF
-1388 -4450 -4543 -3266 -2062
Net cash flows from financing activities
財務CF
-1622 -293 954 -4118 -3359
Increase in receivables under
service concession arrangements
サービス委譲契約の債権(営業CF)
0 0 0 -9 -464
Purchases of items of property,
plant and equipment
設備投資(投資CF)
-138 -278 -1373 -507 -360
Acquisition of subsidiaries
子会社買収(投資CF)
0 -282 -3077 -12 8
Increase in investments in associates
関連会社投資(投資CF)
0 -30 -179 -3 -1893
Dividend paid to
equity holders of the Company
配当支払(財務CF)
-1247 -1497 -1876 -2255 -2909

「サービス委譲契約の債権」は、中国光大国際にて触れた
「工事発注者への債権」と同じようなものと思われます。

「attributable to sewage treatment operations(水処理事業によるもの)」と書かれており、
PPP方式による水処理事業の受注で必ず出てくる先払い費用のようなものですが、
当社が中国光大国際と異なるのは、全体に占める割合が少なく営業CFが黒字となっています。


それ以外に特筆すべき支出がなく、本業のもうけの多くが配当支払いに使われている印象です。






■各事業の詳細


2018年第3四半期のプレゼン資料から各事業の詳細を確認します。

<事業構成>


4事業にわかれています。

・水処理事業:63%
・インフラ(電気、高速道路、橋):14%
・不動産&デパート:17%
・ホテル運営:6%

売上比率が大きいのが水処理事業です。近年は水処理事業と電気の比率が拡大しています。


<水処理事業>



水処理事業の中でも香港への供給が60%以上をしめています。(当社全体の約40%。)
その部分の売上が2020年まで香港政府と調印されています。


香港以外で成長分野はこの2つです。

1つめ


2つめ

2つめの事業の過去の推移
別のスライドで、建設中が473('000 tpd)あります。


<インフラ(電気、高速道路、橋)>

電気は発電所が2つあります。「increase in coal price(石炭価格の上昇)」という
コメントが出てきますので、石炭を燃やす火力発電所と思われます。
大気汚染で、中国政府から嫌われているのでは?という気がします。
(大きく売上伸びないのでは?)




高速道路は規模は小さいですが、順調にのびています。



<不動産&デパート>



不動産は、ショッピングモールやオフィスビルを賃貸しています。
主力のビルプロジェクトを「Teem Plaza」と呼んでいます。
ここの売上は増えたり、減ったりしています。



デパート事業は、近年の売上は減少傾向です。

<ホテル運営>



ホテル事業の売上&利益は近年横ばいです。

■感想


一言でいうと、鉄壁のディフェンシブ銘柄。

売上の大きな伸びは期待できないものの、
水処理をはじめとした各事業に安定感があり、大崩れもしないと思われます。
大きな設備投資もなさそうで、負債比率は約25%となっています。
キャッシュフローが安定しており、連続増配しばらく続くのでは?と感じます。

このあたりがブログ主が当銘柄を購入した理由です。
2018年にずいぶん株価があがって買いづらくなってしまいましたが、
配当利回りが5%くらいになれば、購入していきたいです。


2019/01/10

(MO)アルトリア 配当6.5% 後編


前編に引き続き、(MO)アルトリアは買いか?検討していきます。


前編のおさらい。

米国の喫煙者数が減っているが、どのくらい影響ありそうか?
→数量減の影響があるものの、単価増でおぎない、
 ERS成長率で、おおよそマイナス1%~プラス3%に収まるのでは?


■マリファナ、電子タバコ買収


2件の買収について、アルトリアの資産等への影響を確認します。
・マリファナ事業「クロノス」を18億ドルで買収
・電子タバコ「JUUL」を128億ドルで買収

<バランスシート>


2017年末のバランスシートに買収金額128億ドル+18億ドルをのせてみました。


1.3倍くらいになります。
資金調達は負債のようですね。

Altria financed the JUUL stock purchase through a $14.6 billion term loan facility arranged by JPMorgan Chase Bank, N.A. $1.8 billion of the facility remains undrawn and may be used by Altria to finance its recently announced investment in Cronos Group. Altria may consider seeking permanent financing in the future.

<損益計算書&キャッシュフロー>


2015年2016年2017年クロノス&JUUL分
Net revenues
売上
25434 25744 25576 +1500
※株保有100%の場合
Net earnings attributable to Altria Group, Inc
利益
5241 14239 10222
Cash Provided by (Used in)
Operating Activities
営業CF
5810 3791 4922
Cash Provided by (Used in)
Investing Activities
投資CF
-15 3708 -467 -14600
Cash Provided by (Used in)
Financing Activities
財務CF
-6747 -5299 -7771

Altria’s investment represents a 35% economic interest in JUUL, valuing the company at $38 billion. JUUL will remain fully independent

380億ドルの価値のJUULに対して、35%の投資をするそうです。


クロノス社の現時点の売上は小さすぎて省略しました。
なかなかの規模の買収と思いましたが、もともとのアルトリアの利益額が桁はずれで、
会社が傾くようなイメージではなさそうですね。


2社の買収でアルトリアの売上が2倍、3倍になるようなイメージは湧きませんが、
何年もかけてEPSが2倍になるようなイメージができました。
ただ、市場が形成されはじめたところですので、未来の市場規模は誰にもわかりません。




楽天広告。名言。
猫「私のいれるお茶ってぬるいでしょ~ 猫舌だから私~」



■まとめ

これまで考察してきたことをまとめます。
いろいろな前提はありますが、

・米国で喫煙者の減少
・FDAによるメンソールタバコ販売禁止
→今すぐ大きな減収減益の懸念はなさそう。
 増益の可能性もある。


・マリファナ事業「クロノス」を18億ドルで買収
・電子タバコ「JUUL」を128億ドルで買収
→売上貢献は時間がかかりそう。
 市場ができはじめたばかりで、規模は誰にもわからない。
 単純な売上上積み分として気長に待つこと。


2019/01/09

(MO)アルトリア 配当6.5% 前編


(MO)アルトリアは買いか?検討してみます。
長文なので、前編、後編にわけました。

前編は、喫煙者数減少に係るEPSへの影響(→-1%?~+3%?)
後編は、電子タバコ、マリファナ買収に係る影響(→天地がひっくりかえるほどではない?)

バリエーションは、おおよそ以下のとおりです。

米国上場
予想PER 12倍
予想配当利回り 6.5%

ブログ主が保有していることもありますが、
やや強気(長期にゆっくり買い増し)で考えています。

■検討事項



2018年に(MO)アルトリアの株価が70ドルから50ドルに30%弱下落しました。
弱気な理由はおおよそ4点報道されています。

・米国で喫煙者の減少
・FDAによるメンソールタバコ販売禁止の方針
・マリファナ事業「クロノス」を18億ドルで買収
・電子タバコ「JUUL」を128億ドルで買収


内容を確認しながら、(MO)アルトリアは買いか?検討していきます。


■喫煙者減少、メンソールタバコ販売禁止


今後のアルトリアの業績を予想します。
アルトリアの事業部門は4つに分かれています。

事業部門小分類売上割合
Smokeable ProductsCigarettes
タバコ
89%
Cigars
葉巻
Smokeless ProductsCopenhagen and Skoal
噛むタバコ
8%
Wineワイン3%

売上のほとんどを「タバコ」&「葉巻」が占めていますので、
この部門のデータを使って予想していきます。

<米国全体で喫煙者数は減っている?>


まず、米国のトレンドをおさえるため、喫煙者数を推定してみます。
米国公的機関CDCのサイトから喫煙率を拾います。
米国の人口はどこにでもありますので、適当に拾ってきます。

推定喫煙者数=喫煙率×米国人口

で当ブログ独自に推定します。推定結果は以下のとおりです。

喫煙率(%)米国人口(万人)推定喫煙者数(万人)推定喫煙者数
前年比増減率
201121.2%312006614
201219.6%314286159-6.9%
201319.0%316506013-2.4%
201418.1%318855771-4.0%
201517.5%321225621-2.6%
201617.0%323575500-2.1%
201717.1%3258955721.3%

2011年から2017年までで、人口が増えるペースより喫煙者が減るペースのほうが早く
推定喫煙者数が-15.7%減少しています。
1年あたり平均、-2.5%くらいのペースで減っています。






<アルトリアの売上、利益推移は?>


四半期のデータがアルトリアのサイトで公開されています。



イメージのデータを四半期ごとに並べたものが以下の表です。

全社タバコ事業
売上株数タバコ売上出荷数推定単価シェア
20111Q564320845143322340.16049.0%
2Q592020765858365210.16049.3%
3Q610820545499336390.16348.7%
4Q612920435470339900.16148.8%
20121Q564720345100314360.16249.4%
2Q648720275903365550.16150.1%
3Q624220245613340040.16549.9%
4Q624220135600341160.16449.8%
20131Q552820034968297740.16750.5%
2Q630520025678341170.16650.7%
3Q655319985802344370.16850.7%
4Q608019925420321820.16850.7%
20141Q551719864958290230.17150.7%
2Q625619805611324650.17351.0%
3Q649119765859335120.17550.9%
4Q625819705511316610.17450.9%
20151Q580419665221295000.17751.1%
2Q661319625974334580.17951.4%
3Q669919586040335330.18051.3%
4Q631819585557308520.18051.4%
20161Q606619565422298660.18251.4%
2Q652119545829318290.18351.4%
3Q690519526147332250.18551.4%
4Q625219465453294130.18551.4%
20171Q608319395458290940.18851.0%
2Q666319285922309750.19150.8%
3Q672919155975312130.19150.5%
4Q610119055281268660.19750.3%
20181Q610818995414279000.19450.3%
2Q630518915546276830.20050.2%
3Q683718836035301090.20050.1%
4Q開示前
売上株数タバコ売上出荷数推定単価シェア
平均増減率
(2011-2017)
-1.50%-2.50%+3.50%
平均増減率
(2016-2017)
-2.11%-8.66%+6.03%

推定単価は、「タバコ売上÷出荷数」で当ブログ独自に算出したものです。
2011年初を100とした四半期ごとの変化率をグラフにしました。


ここから読み取れる情報としては、

・タバコ売上、出荷数は季節性がありそう。(4~9月が多く、10月~3月が少ない。)
推定単価はほぼ一貫してあがっている。
シェアは2016年まであがり続けていたが、2017年から減りはじめている。



さらに、推定喫煙者数と組み合わせたグラフ(こちらも変化率)はこちらです。
注)2018年の決算は執筆時点で3Qまでです。過去、4Qは年間売上の24%を占めてましたので、
3Qまでの数字に約1.33倍して補足しています。



アルトリアの出荷数(オレンジの線)は、米国全体の推定喫煙者数(緑の線)の上を行っており、
 米国平均より減少が緩やか。(アルトリアが優秀。)
ただ、2017年以降は米国平均より出荷数の減少幅が大きい。(電子タバコに押されている?)
・タバコ売上(青の線)はほぼ横ばいで、出荷減少を単価増で補えている。





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お疲れの方へどうぞ。


<中間まとめ>


アルトリアを過去のデータから評価する際、どの期間をみるかで、
みえる景色が変わってきます。
2011年以降のデータでみると、「アルトリアは優秀で楽観的に考えてもよい。」と思えます。
2017年以降のデータでみると、「出荷減少のペースがきつく悲観的にならざるをえない。」
と思えます。

ということで、楽観的なシナリオと悲観的なシナリオを考慮することにします。
(コストや、abインベブ等を考えるとややこしいので、利益率は一定と仮定します。)
シナリオブログ主の売上予想ブログ主のEPS予想ブログ主の増配予想
楽観的価格×販売数
(1+0.0350)×(1-0.0250)=1.0091
利益(=売上×利益率)÷株数
1.0091÷(1-0.0150)=102.44%
2.44%ずつ増配
悲観的価格×販売数
(1+0.0603)×(1-0.0866)=0.9684
利益(=売上×利益率)÷株数
0.9684÷(1-0.0211)=98.93%
ほぼ横ばい
(1.07%ずつ減配)

悲観的なほうで、減収減益はあるものの、1株利益も1%ずつ減り
連続増配は期待できないかもしれませんが、
高配当をもらえるなら、今後2~3年は比較的リスクは少ないのではないでしょうか?

FDAによるメンソールタバコ販売禁止によって、このシナリオより喫煙者が減ってしまうと
売上、利益面ともにかなり厳しいですね。
若年層に人気があるようなので、すぐに喫煙者数が激減するシナリオではないかもしれません。


アルトリアは、2018/12/20のJUUL買収に関するIRの中で、以下の内容を発表しています。
「アルトリアは、長期的なEPS成長目標を7%~9%としており、配当性向80%を維持していきたい。」
Long-term Financial Goals Altria maintains its long-term financial goals to grow adjusted diluted EPS at an average annual rate of 7% to 9% and to maintain a dividend payout ratio target of approximately 80% of adjusted diluted EPS.




中間まとめの最後に、2019/1/8にyahoo financeで流れていたアナリストの意見です。
Cowen and Company downgraded Altria Group (MO) from “outperform” to “market perform” due to the accelerating decline in Altia’s cigarette sales. Also, Cowen lowered its 12-month price target from $74 to $53. As CNBC reported, Cowen expects Altria’s cigarette volumes to decline at an annual rate of 7.3% over the next five years, compared to a decline of 3.1% over its previous five years.
「Cowenは、アルトリアを"アウトパフォーム"から、"市場平均"にダウングレードし、
12か月の目標株価を74ドルから53ドルに引き下げた。
理由は、タバコの販売量が過去5年で3.1%減少したのと比べて、
未来5年は、7.3%の減少を見込んだためである。」


Cowenさんは、違う指標をつかって分析しているかもしれないです。ブログ主よりやや楽観的です。
注)そもそも投資分析に関して、ブログ主が悲観的な傾向が強いところがあります。



ここまでかなり長文になってしまいました。
マリファナ、電子タバコ買収の影響の考察は、後編で書いていきます。