2025/12/06

(00697)首程控股 予想PER25倍 予想配当6.8% 人型ロボット


中国の十五次五ヶ年計画(2026~2030年)の前段の会議で有望とされている
ヒューマノイドロボットのことを調べていたら(00697)首程控股にたどり着きました。

ヒューマノイドロボット業界全般のこと、(00697)首程控股のことを書いてみます。
※この記事内の引用元が英語、中国語の場合、chatgptの翻訳を載せています。


----------目次----------
1.ヒューマノイドロボット業界について(概要)
2.ヒューマノイドロボット業界について中国政府方針
3.ヒューマノイドロボット業界の課題
4.ヒューマノイドロボットのコスト構造
5.(00697)首程控股のこと


■1.ヒューマノイドロボット業界について(概要)


ロボットは従来の産業用ロボット、新しいサービスロボットの2種類にわかれます。
従来の
産業用ロボット
新しい
サービスロボット
・導入に数週間~数か月かかる
・作業変更の柔軟性がない
・導入時間を大幅に短縮可能
・環境変化に強い

新しいロボットについては、経済産業省では2030年頃から急速に拡大すると予測しています。





ヒューマノイドロボットの利用シーンが最初はイメージわかなかったんですが、
”ドラえもん”ってイメージしたら頭にスッと入ってきて、
工場、清掃、警備、介護、災害現場等が想定されているようです。



代表的な企業として、以下の企業があります。



また少し古い2022年の情報として、中国におけるシェアは以下の通りです。



2年程度でトップ企業が入れ替わってしまう世界ではないかと思います。

こちらはCOBOT(稼働可能なロボットアームを備えたロボット)という分野のシェアです。



2025年12月時点で中国に上場してるロボット系企業です。
(ブログ主調べで誤りがあるかもしれません)
銘柄コード銘柄名備考
0697首程控股投資会社
2238広州汽車人型ロボット
2432DOBOTロボットアーム
2451緑源集団ロボット部品
2498速騰聚創科技ロボット部品
2590Geek+人型ロボット(倉庫作業)
2670北京雲跡科技人型ロボット(ホテル)
6098碧桂園服務人型ロボット(清掃)
9868小鵬汽車人型ロボット
9880UBTECH人型ロボット
002050三花智控テスラ部品
002600広東領益智造ロボット部品
002896寧波中大力徳智能伝動ロボット部品
300503昊志机電ロボット部品
601689寧波拓普集団テスラ部品
603119浙江栄泰電工器材ロボットアーム
688017蘇州緑的諧波伝動科技股分ロボット部品
688322奥比中光ロボット部品
上場準備中UDITECH人型ロボット
上場準備中Unitree Robotics人型ロボット
上場準備中SEER Robotics人型ロボット


ここまでの記事は主に以下の記事を参考にさせていただきました。
経済産業省 AIロボティクス検討会 とりまとめ(20251008)
野村総研 中国における人型ロボット産業の現状と将来展望(20250718)
三菱総研 前編 ヒューマノイドロボットへの期待:社会実装される5つの意義(20250609)

■2.ヒューマノイドロボット業界について中国政府方針


中国政府は、十五次五ヶ年計画(2026年~2030年)の前段の会議(20251028)で
以下のような方針を打ち出しています。

3. 近代的な産業体系の構築と実体経済基盤の強化
(8)新興産業および未来産業の育成・拡大
・新興支柱産業の構築に注力
 産業イノベーションプロジェクトを実施し、革新施設の整備、技術研究開発、製品の反復的アップグレードを一体的に推進する。
 新エネルギー、新素材、航空宇宙、低空経済などの戦略的な新興産業クラスターの発展を加速する。

・産業エコシステムの整備
 新技術、新製品、新しい利用シナリオの大規模な応用・実証を実施し、新興産業の規模拡大を促進する。

・未来産業への先見的な布石
 多様な技術路線、典型的な応用シナリオ、実現可能なビジネスモデル、そして市場規制ルールを探索する。
 量子科学技術、生物製造、水素エネルギーと核融合エネルギー、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)、具身型知能(Embodied Intelligence)、第6世代移動通信(6G)などを新たな経済成長の柱にする。

・イノベーションの推進と規制改革
 規制方式を革新し、ベンチャーキャピタルを発展させ、未来産業への投資拡大とリスク分担のメカニズムを確立する。

・中小企業とユニコーン企業の育成
 中小企業の「専門特化・精密・独自・革新」の発展を促進し、ユニコーン企業を育てる。

市場規制ルールについては、おそらく標準化や最低限の品質保証ではないかとブログ主は思います。
20251103に清掃ロボットの基準が発布されました。
・清掃性能細分化(清掃、吸塵、塵押し、端部清掃)の性能指標
・運動性能評価(速度、障害物・段差を越える能力、脱困能力)
・安全性、騒音、環境への配慮

中国政府がロボットバブルを懸念する発言がありました。
ブルームバーグ 中国ロボット関連株に過熱警報





■3.ヒューマノイドロボット業界の課題


中国で書かれた課題の記事を2つ見つけました。
経営に失敗して倒産した事例を分析したものです。

記事1(中国語)
消費電力の問題 自由度を上げることと、消費電力、バッテリー寿命、重量、コストの間でトレードオフ
・感知と精度の問題 複雑な環境下で誤差が大きい
・サプライチェーンと部品の輸入依存 日本やドイツへの依存
・量産のハードルの高さ、サプライチェーン未成熟
商業化シーンが限定的でコスト回収が難しい

記事2(中国語)
・家庭用 市場規模が小さく、機能がスマホアプリやスマートスピーカーなどで代替されやすい
高コスト
・母体企業からの過度な依存 資金繰り
・ハードウェアコストが高く、付加価値(+継続購入・利用)が低い
・研究・実験レベルの「科研試作機/サンプルマシン」 市場投入されない
・万能型家庭サービスロボット 家庭ユーザーの支払い能力やニーズとの乖離が大きい

ほかに見かけて印象的だったのは、ロボットが問題を起こしたときの責任の所在は?ということが挙げられてました。


■4.ヒューマノイドロボットのコスト構造


産業用インテリジェントロボットのコスト構造は、代表例として AMR を挙げると、認知、制御、駆動、電源システムの合計コストは総コストの 70% 以上を占める。

ナビゲーション用 LiDAR などの主要コンポーネントのコストは継続的に低下しており、平均価格は 2020 年の 1.21 万元から 2024 年には 0.77 万元に下がり、2029 年には 0.53 万元までさらに低下すると予測されている。



このコスト低下の主な要因は、技術の成熟、確立された標準化された生産プロセス、高度に統合されたモジュール、国内での規模生産によるものであり、ナビゲーション LiDAR はより信頼性が高く、手頃な価格になっている。

このコスト効率により、ロボットソリューションはよりアクセスしやすく競争力のあるものとなっている。
市場のさらなる成熟と導入規模の拡大に伴い、これら重要コンポーネントのコストはさらに低下し、より広範な産業への産業用インテリジェントロボット導入が加速すると見込まれている。

コストの 10~20% を占めるロボット制御システムは、プリント回路基板(PCB)、集積回路(IC)チップ、トランジスタ、抵抗器、コンデンサなど、多種多様な電子部品に依存している。
世界最大の PCB基板生産基地である中国本土は、世界の生産額の 50%以上を占めている。
中国における PCB の平均単価は、2020~2022 年パンデミックによる銅鉱山の操業停止が供給不足を招き変動が生じた。
2029 年には 1 平方メートルあたり 609 元までさらに低下すると見込まれている。


この項は、2025年11月28日SEER Robotics社のIPO資料をもとに書いています。


■5.(00697)首程控股のこと


ここまでのことを踏まえて
・どの企業が勝ち残るかわからない
・キャッシュフローがとにかく大事
ということをブログ主は優先的に考えて、
ロボットメーカーに投資する企業の(00697)首程控股が
良さそうに思いました。

会社の概要としては、
・主に空港の駐車場運営が本業(主要空港を押さえていてキャッシュフローが安定)
・ロボット企業数十社に投資している
・ロボット企業に運営中の駐車場で実戦させてデータ検証を重ねてる
・ロボット体験店を2025年に1号店オープンして以来、20店舗を目指している
という唯一の特徴があるような気がします。

DBS銀行のアナリストレポート(中国語)がほとんど同じこと言ってます。

事業セグメントごとの売上と事業内容です。



①Carpark income事業(2022年annual reportより)
 2022年、資産運営による収益は5億8,300万HKドルで、前年同期比で8.5%減少しました。
 2022年に収益が減少した主な原因は新型コロナウイルスの影響です。
 感染症対策期間中、大型交通拠点(空港など)の駐車場における収益規模が急激に減少しました。

駐車場運営権を受注した代表的な施設
  • 2018年 北京大興国際空港
  • 2018年 上海虹橋空港
  • 2018年 貴陽龍洞堡空港
  • 2018年 北京中日友好医院
  • 2018年 北京駅
  • 2019年 上海浦東国際空港
  • 2019年 南京市秦淮区の公共駐車場
  • 2019年 北京首都国際空港
  • 2020年 ボアオ国際空港
  • 2020年 唐山駅
  • 2021年 寧波櫟社国際空港
  • 2021年 鄭州新鄭国際空港
  • 2021年 張家口寧遠空港
  • 2021年 昭通空港
  • 2022年 西安咸陽国際空港
  • 2023年 広州白雲国際空港
  • 2023年 北京豊台駅
  • 2024年 ラサ・クンガ国際空港
  • 2024年 天津浜海国際空港


②Fund management services事業(2018年annual reportより)
 ・2017年末に「京冀協同発展示範区(唐山)基金管理有限公司」を買収
 ・2018年12月31日時点で、京冀キャピタルが運用または管理するファンドは17本、その目標募集総額は約300億元
 ・ファンドの投資家は、中国農業銀行、招商銀行、中国人寿保険、北京市、河北省、吉林省、四川省、黒竜江省などの地方政府系ファンド投資機関
 ・ファンドの主な投資対象は、駐車場関連インフラの建設および既存パーク(施設)の再開発
 ・併せて、医療・ヘルスケア関連の消費高度化分野、新エネルギー自動車部品・設備製造分野、および先端技術分野への投資も検討

③Leasing income事業(2019年annual reportより)
 ・グループは、各種オフィス物件および駐車場資産をリースしている。
 ・リース契約の期間は通常1年から20年ですが、延長オプションが含まれる場合がある。
 ・リース期間は個別に交渉され、さまざまな条件や条項が設定されている。

④service concession Agreement事業(2020年annual reportより)
 ・グループの建設サービス
 ・サービスコンセッション契約に基づく建設サービスの収益は、原価プラス方式(コストプラス)で見積もられ、契約日現在の同様の建設サービスに適用される市場の粗利益率を参照して算定

⑥Excess return from investment funds事業(2021年,2024年annual reportより)
 ・インフラおよび不動産ファンド管理事業においてファンド分配を認識
 ・インフラおよび不動産ファンド管理の分野において、グループは「ファンド+拠点+産業」という不動産金融モデルを採用し、産業体の開発、管理、運営、エグジット(投資回収)に参加することで、ファンド投資を通じて産業資源をカバーし、資産価値の向上を図っている。
 ・株式投資がエグジット段階に入ったときの超過リターン

 ・グループの新規投資プロジェクトは、車両向けの自動運転ソリューションや、人工知能チップなど関連分野に関連している。
 ・あるファンド投資では収益分配が開始され、グループに初回の超過リターン(税引前)として2億5,800万香港ドルをもたらした。
 ・投資済みプロジェクトの引き揚げに伴い、現在グループが管理しているファンドは順次分配される予定で、これにより相当のリターンが生み出される見込み。

 ・2024年、中国の主要企業10社以上に投資しており、対象分野は組み込み型知能、ヒューマノイドロボティクス、高インパクトシナリオで活用されるロボットなど。
 ・具体的には、Unitree Robotics、Galbot、Galaxea.ai、Narwal、X Square Robot、Noetix Robotics、Rossum Robot、X-Magtech、TowardPi Medicalなどが含まれる。
 ・今後2~3年で、さらに40~50社のトップティアのロボティクス企業に追加投資を行い、卓越した起業家とともに急速な成長を支援する予定。

 ・グループは全国の駐車場および商業施設、産業パーク、アパートメントなど多様な事業分野を網羅している。
 ・これらの場所は、清掃ロボット、警備ロボット、案内ロボットの実運用シナリオによる検証の場として活用可能。
 ・実際の運営データをロボット製品にフィードバックしてアップグレードを行うことで、グループは「技術検証-製品アップグレード-大規模適用」のチェーン全体を接続することを目指している。

 ・このアプローチにより、「資本+産業」の深い統合が促進され、ヒューマノイドロボットを含む高品質企業の事業化プロセスの加速が実現される。

この企業が投資しているUnitree、GalbotはNVIDIA基調講演時に上がったロボットのメーカーであり、
Unitreeは中国本土への上場手続きが進められています。

Unitreeのロボットは日本企業でも実証実験をされており、
生き残る可能性がある会社の1つではないかと個人的に思います。

JR東日本の実証実験例
オリエンタル白石の実証実験例

2025年の予想配当利回りが6%を越えてますが、
特別配当が含まれていて、通常は2%くらいです



ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。