「新基建」のキーワードに影響されて、
(09988:BABA)アリババの、「アリババクラウド」を考えてみました。
■クラウド部門業績(年次)
クラウド部門に限定した業績(年次)推移です。
年 | 売上 Revenue (a) | 営業利益 Income (loss) from operations (b) | 調整後EBITA Adjusted EBITA (c) | 減価償却費 depreciation and amortization (d) | 調整後 EBITDA (e)=(c)-(d) | 調整後 EBITDA 利益率 (f)=(e)/(a) |
2016 | 3,019 | -2,605 | -1,252 | -1,116 | -136 | -4.5% |
2017 | 6,663 | -1,681 | -476 | -1,438 | 962 | 14.4% |
2018 | 13,390 | -3,085 | -799 | -3,047 | 2,248 | 16.8% |
2019 | 24,702 | -5,508 | -1,158 | -6,580 | 5,422 | 21.9% |
2020 | 40,016 | -7,016 | -1,414 | 未発表 |
(e)の調整後EBITDA、(f)の調整後EBITDA利益率は、ブログ主で計算しています。
会社から発表されている「営業利益」、「調整後EBITA」は赤字が続いていますが、
ブログ主が計算した「調整後EBITDA」は黒字で推移しております。
さらに、「調整後EBITDA利益率」が年々上昇しています。
売上高の増加によって利益率が上昇していくような、固定費が大きいビジネスモデルと推測します。
■クラウド部門業績(四半期ごと)
クラウド部門に限定した業績(四半期ごと)推移です。
年 | 売上 | 前年比増収率 | 営業利益 | 調整後EBITA | 顧客数(千人) | |
2016 | 1Q | 485 | 106% | -553 | -368 | 263 |
2Q | 649 | 128% | -733 | -386 | 313 | |
3Q | 819 | 126% | -712 | -332 | 383 | |
4Q | 1,066 | 175% | -607 | -166 | 513 | |
2017 | 1Q | 1,243 | 156% | -439 | -158 | 577 |
2Q | 1,493 | 130% | -398 | -57 | 651 | |
3Q | 1,764 | 115% | -339 | -92 | 765 | |
4Q | 2,163 | 103% | -505 | -169 | 874 | |
2018 | 1Q | 2,431 | 96% | -532 | -103 | 1,011 |
2Q | 2,975 | 99% | -697 | -162 | ||
3Q | 3,599 | 104% | -793 | -181 | ||
4Q | 4,385 | 103% | -1,063 | -353 | ||
2019 | 1Q | 4,698 | 93% | -2,074 | -488 | |
2Q | 5,667 | 90% | -1,165 | -232 | ||
3Q | 6,611 | 84% | -1,233 | -274 | ||
4Q | 7,726 | 76% | -1,036 | -164 | ||
2020 | 1Q | 7,787 | 66% | -1,509 | -358 | |
2Q | 9,291 | 64% | -1,928 | -521 | ||
3Q | 10,721 | 62% | -1,822 | -356 | ||
4Q | 12,217 | 58% | -1,757 | -179 |
顧客数は100万人達成後、非開示となりました。
営業利益、調整後EBITAは過去5年黒字を達成していません。
また、売上高の増収率が徐々に鈍化しています。
なぜ増収率が鈍化しているのか?もう少し詳細に見てみます。
■各期のクラウド増収理由
クラウド部門の決算コメントから、なるべく定量的な部分を抜粋しました。
上の表と、アリババクラウドのサービスメニューを見比べると、
クラウドが売上を増やせる理由はおそらく4つに分類できるように思います。
1.顧客数増
もともとクラウドを利用せず自社システムを利用していた層(on premise)を、
クラウドへ誘導することで売上増となるパターン。
2.顧客単価増(利用機能増)
例えば、クラウドをデータ管理として利用していたが、
他のAI分析機能を利用したり、社内システム構築にも利用したりと、
顧客が利用機能を増やすことで売上増となるパターン。
たしかに、日本の総務省のアンケートを見ると、
もともと、クラウドはエクセル置き場のイメージ
としか使われていなかったように見えます。
3.顧客単価増(利用件数増)
ストレージの料金体系がわかりやすいですが、
データの保存量に応じて課金されます。
データ量は基本的には減らないので、徐々に増収となる構造に思えます。
4.パブリッククラウド+ハイブリッドクラウド増
顧客数増、顧客単価増どちらにも当てはまりそうです。
不特定多数が共有するパブリッククラウドと
利用企業専用環境のプライベートクラウドを併用する(結びつける)
ハイブリッドクラウドを利用する顧客の増加。
たとえば、重大な顧客情報をパブリックに保存できないために
クラウドに移行していなかった企業等を取り込むことができそうです。
まとめると、大幅な顧客数増加は止まった(かもしれない)ものの
クラウド市場の売上成長余地は、まだまだありそうということです。
■クラウド利益面
過去の設備投資と、減価償却費を表にしました。
クラウドのR&D投資計画は、aastocksを参考にしました。
全社的に、設備投資が減価償却費を大きく上回る傾向が続いています。
amazonのAWSは利益が出ていて、アリババのクラウドは利益が出ていない理由は
おそらく、この減価償却費に対する設備投資の規模の違いなのではないかと。
ただ、2020年の全社設備投資はむしろ減少していて、仮に今後も横ばいが続き、
2023年まで今年並みの増収率(+62%)を達成すれば、
そのころ営業利益が黒字になるかもしれない・・・。
ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。
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