2019/06/09

消費増税で下がる株セクターの検証


消費税率がもしかしたら上がってしまうかもしれないので、
消費増税で下がる株セクターを過去のデータから増税前後に分けて検証してみました。


結論から言いますと、「2014年の消費増税データからは
消費増税と株価はあまり関係ないのではないか。」ということです。

■消費税の歴史


1989年 消費税0%→3%
1997年 消費税3%→5%
2014年 消費税5%→8%
2019年 消費税8%→10%?


1997年は昔すぎるので、2014年以降のデータで検証しました。

■増税直後の株価の推移


セクターの指数として、銘柄コード1617~1633の
NEXT FUNDSシリーズの業種別ETFを使います。


2014年4月に消費増税をしており、
4月~6月の名目GDPの民間最終消費支出部門は-3.1%減と、
データの取れる1994年以降で最悪の下落でした。





そこで、2014年4月~6月末の株価が前月末比でどの程度増減したか一覧にしました。


銘柄コード業種2014.42014.52014.63か月平均3か月標準偏差
1618エネルギー資源8.6%0.1%3.8%4.2%0.04
1623鉄鋼・非鉄2.5%-2.5%12.4%4.1%0.08
1619建設・資材-1.0%3.4%6.3%2.9%0.04
1617食品1.2%2.2%4.5%2.7%0.02
1632金融(除く銀行)-6.1%8.6%4.7%2.4%0.08
1630小売0.3%4.1%2.7%2.4%0.02
1624機械-3.8%4.3%6.4%2.3%0.05
1628運輸・物流-0.9%3.8%3.6%2.2%0.03
1629商社・卸売-2.4%4.2%4.5%2.1%0.04
1633不動産-3.8%6.5%2.7%1.8%0.05
1620素材・化学-0.8%3.1%3.0%1.8%0.02
1625電機・精密-3.8%2.0%6.3%1.5%0.05
1631銀行-3.6%1.3%6.8%1.5%0.05
1627電力・ガス-6.9%6.9%4.0%1.3%0.07
1621医薬品-4.5%3.0%5.4%1.3%0.05
1626情報通信・サービス-3.1%3.2%3.1%1.1%0.04
1622自動車・輸送-4.3%2.9%4.3%1.0%0.05
日経平均-3.5%2.3%3.6%0.8%0.04

下落の大きい、または上昇幅が少ないセルに色をつけています。


2014年4月は全体的に株価が下がっているものの、
5月、6月はむしろ上昇しています。


直感的に、小売や不動産が下がりそうなイメージがありましたが、
実はそうではなかった。ということがわかりました。


日銀のETF購入による影響も少なそうです。





「増税の何か月も前に株価へ織込済みとなっていたのでは?」という仮説を立てて、
次に検証してみました。






■増税前の株価の推移


株価に増税が織り込まれたかもしれない時期を検証するために、
消費増税の歴史をもう少し調べてみました。



この表の増税が決まったときに、株価が下がって、
延期が決まったときに、株価が上がるような動きとなっているか確認しました。

銘柄コード業種2012.8
法案成立
2013.10
閣議決定
2014.1
増税直前
2014.2
増税直前
2014.3
増税直前
2014.11
増税延期
2016.6
増税延期
期間平均
1621医薬品1.9%3.0%-2.2%3.8%-1.8%3.0%-2.0%0.8%
1625電機・精密-0.4%1.8%-5.5%4.1%-0.7%11.4%-4.9%0.8%
1617食品2.6%1.5%-5.0%2.2%0.9%5.8%-2.5%0.8%
1628運輸・物流1.7%-0.5%-5.3%1.1%0.9%7.6%-5.1%0.1%
1626情報通信・サービス3.3%0.5%-7.1%0.8%-0.6%7.0%-6.3%-0.4%
1620素材・化学0.8%-1.5%-3.3%-0.4%0.0%7.7%-6.1%-0.4%
1629商社・卸売-3.2%-0.2%-3.0%3.1%-0.5%8.5%-9.3%-0.6%
1630小売1.4%-0.4%-4.5%-5.2%0.4%5.0%-3.7%-1.0%
1619建設・資材-1.4%4.2%-4.8%-2.3%0.2%3.9%-7.8%-1.1%
1622自動車・輸送0.9%0.7%-6.7%-1.5%0.7%12.4%-14.7%-1.2%
1627電力・ガス3.9%-2.4%-6.3%2.4%-4.8%6.9%-9.2%-1.4%
日経平均1.7%-0.9%-8.5%-0.5%-0.1%6.4%-9.6%-1.6%
1624機械-4.6%-1.2%-3.3%-3.4%-1.3%6.9%-12.5%-2.8%
1618エネルギー資源2.5%-2.9%-7.1%2.3%-0.2%-6.4%-8.5%-2.9%
1631銀行-2.3%-1.7%-7.3%-5.2%0.0%9.5%-13.9%-3.0%
1623鉄鋼・非鉄-4.8%-3.7%-5.4%-8.4%-4.7%14.2%-11.6%-3.5%
1632金融(除く銀行)-0.2%-0.8%-10.9%-5.8%0.7%5.7%-16.2%-3.9%
1633不動産-3.7%-1.3%-13.8%-8.4%2.1%4.0%-10.5%-4.5%

株価が、消費増税の影響をより受けた可能性があるセルに色を付けています。


消費増税前に織り込んだような、明確な傾向は無さそうに思います。


■まとめ


サンプルデータ数が少ないものの、おそらく消費税と株価は関係が無さそうです。

ただ、消費増税によって、GDPが悪化するのも事象も発生するのでしょう。


前回の記事「米国債10年の金利低下から、今後の投資方向性を考えてみる」で検証したとおり、
日経平均株価は米国債10年の金利との関係のほうが強いと言えます。



ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。





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