2019/08/31

香港デモの小売り企業業績への影響


おおよそ以下のような日程で発表がありました。



香港政府統計・見通し

香港政府統計・実績

個別企業業績・実績

の順に見ていきます。



■香港政府統計・見通し


ここの香港政府の統計データを参照しています。

7月前半発表時点の3Qの見通しは以下のとおりでした。



ビジネス環境の見通しが「"今後良くなる"と回答した数」-「"今後悪くなる"と回答した数」
を集計した表です。


見通しが悪いのは、小売、ホテル&外食、不動産でした。


この中で、小売の月次政府統計データ(実績)が公表されるので、
その数値を次項で見ていきます。


■香港政府統計・実績


7月の小売売上高実績(抜粋)です。



7月の全商品売上高は前年同期比-11.4%減でした。

特に2桁減の減少幅の大きい商品は、
「衣類」、「耐久消費財(車、家具、電化製品等)」、
「デパート」、「宝飾品」でした。


ちなみに、小売数量は前年同期比-13.0%減でした。


見通しと実績の関連性です。



見通しと実績はかなり近い結果になるんですね。


7月の結果ですが、2016年ごろの落ち込みに近い数字になっています。

2016年で最も悪かったのが2月の-20.6%減(2015年が良かったのもあります)
2番目に悪かったのが、8月の-10.5%減です。




■個別企業業績・実績


6月末決算を終えた香港小売企業の決算を2社見てみました。
(3月決算が多くて、条件に当てはまる企業が意外と少ないでした。)

・(01212)利福国際:デパート
・(00116)周生生:宝飾品

<(01212)利福国際>

(01212)利福国際は香港や上海等でデパートを経営していましたが、
上海等は(02136)利福中国がスピンオフしました。

グラフは、香港のみの直近5年間の業績です。




2019年6月決算までは、前年比ほぼ横ばいで、
香港デモの影響はあまり無さそうです。
決算コメントでもそういったコメントは見当たりませんでした。


2016年は売上や粗利がやや下がっています。
そこから推測すると、2019年下期は業績が下がりそうです。


<(00116)周生生>

(00116)周生生は中国本土や、香港・マカオで宝飾品を販売していますが、
地域別の業績を公表しています。

グラフは、香港・マカオのみの直近5年間の業績です。




こちらの会社も2019年6月決算までは、前年比横ばいで
香港デモの影響はあまり無さそうです。
決算コメントでもそういったコメントは見当たりませんでした。


2016年は売上や粗利が顕著に下がっています。
そこから推測すると、2019年下期は業績が下がりそうです。


小売り企業全般でおそらく、次の決算で悪い数字が出る可能性が高いと思いますが、
それを見込んでか、株価はかなり下がっています。






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2019/08/29

中国 不動産管理銘柄の2019年中間決算を確認


中国 不動産管理銘柄の2019年中間決算を確認します。


■業績一覧


(01778)
彩生活服務
(02669)
中海物業
(02869)
緑城服務
(03319)
雅居楽雅
生活服務
(06098)
碧桂園服務
売上1811
(+3%)
2400
(+25%)
3663
(+25%)
2241
(+59%)
3515
(+74%)
当期純利益215
(+23%)
248
(+10%)
234
(+2%)
541
(+63%)
816
(+73%)
管理面積(GFA)364.5
(+9%)
142.2
(+8%)
184
(+22%)
211.1
(+93%)
216.8
(+58%)

※(02669)中海物業のみ、香港ドルでの業績発表です。

これだけの成長で、各社とも有利子負債がほとんどないんですね。


■各指標の推移


前年同期比で各指標の成長率推移をグラフにしました。


売上成長率です。




当期純利益成長率です。




管理面積(GFA)成長率です。





管理面積(GFA)の成長と比例して、売上が成長してきています。


管理面積(GFA)は、新規受注をする場合と、他社を買収する場合に分かれます。

買収については、今後も成長する余地がありそうか、
バランスシートののれんを確認してみます。





■バランスシート


各社ののれんと現金残高です。
(01778)
彩生活服務
(02669)
中海物業
(02869)
緑城服務
(03319)
雅居楽雅
生活服務
(06098)
碧桂園服務
のれん231601011361656
現金13962059201743495169
総資産90243706687886898627


(01778)彩生活服務はちょっとのれんが多くて買収ペースは落ちそうと思います。
ここがおそらくPERが低い理由でもあると考えています。


他の会社は買収をしながらまだ成長していくのではないかと思います。


株価推移も直近1年は(01778)彩生活服務以外は株価が強いです。




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2019/08/26

中国 都市ガス銘柄の2019年中間決算まとめ


中国 都市ガス銘柄の2019年中間決算まとめました。

対象の銘柄は5銘柄です。
※(00384)チャイナガスの決算は3・9月なので、
子会社の(03633)中裕ガスのほうを見てみました。

・(00003)香港チャイナガス
・(01083)タウンガス
・(01193)華潤ガス
・(02688)新奥能源
・(03633)中裕ガス

■決算一覧


00003
香港チャイナ
ガス
01083
タウンガス
01193
華潤ガス
02688
新奥能源
03633
中裕ガス
売上20,351
(+8.6%)
6,512
(+16.6%)
28,173
(+18.1%)
35,344
(+33.2%)
4,321
(+16.8%)
粗利7,029
(+4.3%)
5,598
(+20.1%)
1,139
(-3.7%)
営業利益4,276
(-6.4%)
887
(+11.6%)
当期純利益3,889
(-18.8%)
755
(+13.9%)
2,928
(+10.6%)
3,362
(+88.7%)
507
(+21.0%)
ガス販売量
(百万m3)
12,945
(+12.9%)
5,619
(+13.5%)
13,998
(+13.1%)
9,769
(+15.1%)
911
(+25.5%)
香港ガス販売量
(百万MJ)
15,776
顧客数
(百万件)
28.5
(+7.5%)
13.0
(+6.6%)
35.9
(+10.5%)
19.8
(+14.5%)
3.2
(+28.0%)
香港顧客数
(百万件)
1.9


売上は各社とも増収でしたが、
粗利または営業利益の増益率は、増収率に至りませんでした。(利益率の減少)


要因は、華潤ガスの開示によると、マージンが減っています。
※中裕ガスの開示でも同様な開示があります。

2018年上のマージン:0.62
2019年上のマージン:0.58



ただ、これまでのマージンの推移を見ますと、
比較的安定してますので、ブログ主的には問題ないと感じています。


新奥能源の当期純利益は、有価証券や為替等の評価損益による増益です。


ガス販売量は中裕ガスを除く各社とも15%増でした。
顧客数も中裕ガスを除く各社とも10%前後の増でした。






■今後の天然ガス需要


新奥能源の決算で言及されていましたが、
中国政府の方針で、天然ガスのエネルギーミックスシェアを
2020年10%、2030年15%としています



この意味を考えてみます。


過去10年の天然ガスの消費量とエネルギーミックスシェアです。
このデータは中国政府(中国国家統計局) のデータを元にしています。








過去10年の全エネルギーの消費量は年率約3~4%で増加してきたのに対して、
天然ガス消費量は、年率約12~13%で増加してきました。


同じペースで全エネルギーの消費量が2030年まで増えることを仮定すると
天然ガス消費量は、年率約9~10%で増加すれば、
エネルギーミックスシェアが15%になります。


もちろんこの政府方針が達成できないリスクもあります。
(2011-2015は政府方針に未達だったような?)


どちらにしても、2020年以降はややペースが落ちる可能性があると思います。



それをふまえて10年(2009/1/1~2019/8/25)までの株価推移をみると、
都市ガス銘柄は無双状態でした。



一番株価上昇率の低い(00002)香港チャイナガスでも年率約+10%の上昇をしています。

2020年以降はこのペースは落ちる可能性があると思います。


とはいえ、新奥能源の決算資料によると、




都市ガスプロジェクトは年数が経てば経つほど
フリーキャッシュフローをせっせと稼いでくれるモデルのようです。


ペースが落ちてもマージンが現状と変わらなければ、
利益とともに配当も成長していけるのではないかと考えています。




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2019/08/22

(AOS)AOスミス 2019年2Q決算確認


(AOS)AOスミス 2019年2Q決算を確認してみました。

決算の内容から株価の底値を考察してみました。


ちなみに、当社は連続増配20年をたぶん越えています。
(株式分割や株式配当が多くて複雑なので、年数カウント諦めました。)

■どんな会社?


北米、中国、インド等で、給湯器、浄水器を販売します。

給湯器




浄水器





■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2016年2017年2018年2019年
1Q
2019年
2Q
Net sales
売上
2685 2996 3187 748 765
Provision for income taxes
税金
136 224 113 22 30
Net Earnings
当期純利益
326 296 442 89 102
Cash Provided by Operating Activities
営業CF
446 326 448 21 143
Cash Used in Investing Activities
投資CF
-300 -158 -12 77 -52
Cash Used in Financing Activities
財務CF
-139 -152 -523 -21 -69
Common stock repurchases
自社株買(財務CF)
-135 -139 -202 -45 -132
Dividend paid
配当支払(財務CF)
-84 -96 -130 -37 -74

2019年2Qの売上は、前年同期比-8%の減収でした。
当期純利益は、前年同期比-10%の減益でした。

減収減益の要因は、北米以外(中国)の売上が弱かったことです。
北米以外(中国)の業績が弱いことにより、最近1年の株価は下落しています。








■株価の底値を考察してみます


現状の業績は北米、北米以外(中国)ともに利益が出ています。

ですが、北米以外(中国)の営業利益率が悪化しています。
北米以外(中国)の利益が最悪値0になった場合で株価の底値を考えてみます


<地域別売上>

地域別売上です。




四半期ごとの開示は、「北米/北米以外」の分類で開示されています。
年次の開示は、「アメリカ/カナダ/中国/その他」の分類で開示されています。




2つのグラフをあわせてみると、当社の売上は、ほぼ
「北米と中国」で構成されていると考えてよいでしょう。

<北米の業績は堅そう>

北米事業は、3つに分かれていて、売上比率は年によって違いますが
だいたい以下のとおりです。

・給湯器:85%前後
・ボイラー:10%前後
・浄水器:5%前後


給湯器の需要です。
ほとんど買い替え需要です。




ボイラー需要です。
見通し(Forecast)も安定しています。




北米は、給湯器、ボイラーともに需要が安定してそうです。




さらに、裏付ける実績として、北米は売上が1桁台で成長中、
営業利益率が20%台で推移しています。

<中国の直近見通しは弱い>

ちなみに、中国の2019年末見通しです。
会社が出しているガイダンスです。

中国(北米以外)の利益率が弱くなってきています。

2019見通し売上売上
(為替除く)
EPS北米利益率北米以外
利益率
2018,4Q時点+1.0%~+2.5%+2.5%~+4.0%2.67~2.7723.00%~23.50%12.00%~12.50%
2019,1Q時点+2.5%~+3.5%+3.0%~+4.0%2.69~2.7523.00%~23.25%11.75%~12.00%
2019,2Q時点-2.0%~-2.5%+1.0%~+1.5%2.35~2.4123.50%~23.75%6.00%~

<北米事業のEPS推測>

当期純利益から北米以外の利益をマイナスして、
北米事業のEPSをおおまかに推測してみました。



2017年のEPSは、特別な税金の支払いがあってEPSが下がっています。


この表からそれらを総合的に考えると、
北米事業のEPSは$1.8の価値があると考えました。


2019/8/20の株価:$46.18

PER10倍なら:$18
PER15倍なら:$27
PER20倍なら:$36

30ドル台の株価で買えれば負ける確率が低そうと思います



その他の要素で、インド事業の好調さがありますが、
規模がまだ小さいです。

ただ、当社のIRでもインドは有望と語ってますし、
チャイナガス(00384.hk)も
インドのガス給湯器市場はブルーオーシャンと毎決算で言っています。


これから何年後かに中国事業のように伸びるかもしれないです。



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2019/08/18

米国債が逆イールドのニュースで株を売却しました


米国債が逆イールドのニュースで、今週
(PAYX)ペイチェックス株を全株売却しました。


株の売り時は本当に難しいので、
何年後かに答え合わせするために、思考を残しておきます。

米国債の逆イールドのことは、ブルームバーグ等 いろんなサイトで書かれてます。


■売却の経緯等


<ペイチェックスの特徴>

(PAYX)ペイチェックスは、米国で給与・税金計算等のアウトソーシングをしています。
企業の人事等が顧客になるかと思います。

言い換えると、企業の数や労働者の数(つまり失業率)で
当社の業績は決まってくると考えていました。


データで検証してみます。

下のグラフを見ると、失業率とEPSで逆相関がありそうです。




また、失業率と株価の関係も逆相関があります。




この期間の失業率と株価の相関係数は-0.73でした。


つまり、

失業率が改善すると、株価が上昇し、
失業率が悪化すると、株価が下落する

という強めの関係にありました。


<逆イールド>

「逆イールドが続くと、しばらくしてリセッションになった。」
という報道が多いです。

この先どちらに動くかはもちろんわかりません。


<失業率>

現状で、失業率はものすごく低いです。

リセッションにならなくても失業率がこれ以上改善する可能性は
低いように思います。

リセッションになると、失業率が悪化してペイチェックスの株価には
マイナスに作用します。

<結論>

これまでの考えを表にまとめると、(状況によってケースは異なるし、
因果関係もないですが、)
以下の表のような感覚で定性的な判断をしました。

株価上昇確率より、株価下落確率のほうが高いと思って売りました。








■今後は


今回の売却で、キャッシュポジションは1%→2%くらいに増えました。

しばらくは現金のままの予定です。
本当は、米国株買いたいのですが、高いので。


その他の保有銘柄はもともとディフェンシブ銘柄ばかりなので、
不景気にむしろ強く、
今のところは大きく売ることは無い予定です。


<おおよその現在のポートフォリオ>

・電気ガス水道:約70%
・IT/通信:10%以下
・鉄道/道路:10%以下
・生活必需品:10%以下
・その他色々:残り



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2019/08/17

(PG)P&G の2019年6末決算確認


(PG)P&Gの2019年6末決算を確認します。

価格も数量も改善していて、強かったです。

■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書

2017年2018年2019年
(会社予想)
2019年
(実績)
2020年
(会社予想)
Net Sales
売上
65058 66832 0%~
+1%
67684
(+1%)
+3%~
+4%
Net Earning attributable to P&G
当期純利益
15326 9750 3897
Net EPS diluted
一株利益
5.59 3.67 +17%~
+24%
1.43 +222%~
+240%
total operating activities
営業CF
12753 14867 15242
total investing activities
投資CF
-5689 -3511 -3490
total financing activities
財務CF
-8568 -14375 -9994
Capital expenditures
設備投資(投資CF)
-3384 -3717 -3347
Acquisitions, net of cash acquired
子会社買収(投資CF)
-16 -109 -3945
Treasury stock purchases
自己株買(財務CF)
-5204 -7004 -5003
Dividends to shareholders
配当支払(財務CF)
-7236 -7310 -7498

売上は+1%の増収となりました。
要因別に分解したものの推移が下のグラフになります。




為替以外の数量、価格、製品構成の要因が強くなってきています



当期純利益が減益となった理由は、ジレット(ひげそり)事業ののれん減損です。



それを除いた営業利益率は概ね例年通りの数値となっています。



以下、会社コメントです。


2020年の売上予想は、+3%~+4%を予想します。

これは為替のマイナス影響を考慮したもので、
為替の影響なしであっても、+3%~+4%を見込んでいます。



2020年のEPS予想は、+222%~+240%を予想します。

2019年はジレット事業の減損をしましたが、
その影響を除いたコアな成長率は、+4%~+9%を見込みます。



(調整後)フリーCF(=(営業CF-設備投資)/最終利益)>90%

で現金を使用します。設備投資は、売上の4.5%~5.0%の予定です。
※設備投資は、ほぼ減価償却の範囲内という意味とおもわれます。





■事業部門別売上


<Beauty部門>

・売上 12,897Mドル
・売上比率 19%
・売上成長率 +3%









<Grooming部門>

・売上 6,199Mドル
・売上比率 9%
・売上成長率 -1%











<Health Care部門>

・売上 8,218Mドル
・売上比率 12%
・売上成長率 +5%










<Fabric Home Care部門>

・売上 22,080Mドル
・売上比率 32%
・売上成長率 +4%









<Baby Feminine Family Care部門>

・売上 17,806Mドル
・売上比率 26%
・売上成長率 +1%











売上比率の大きい事業の成長率が高めになるといういい感じ。

Grooming部門のジレットが従前から警告されていた通り、
将来の成長見通しが弱くて、今回の決算でのれんを減損しています。


■株主還元


配当総額で7500Mドル以上
(2019年の7498Mドルに対して)の予定です。


自己株買は6000Mドル~8000Mドル
(2019年の5003Mドルに対して)の予定です。





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2019/08/15

(00788)中国鉄塔 配当1.0% 2019年中間決算


(00788)中国鉄塔 配当1.0% 2019年中間決算を確認します。


■業績


四半期の業績がそろってきましたので、いったんまとめておきます。

サイト数テナント数売上当期純利益
4Q1872.22687.518114262
2018 1Q17244380
2Q1879275818091830
3Q1917286518307751
4Q1947.63009.218177689
2019 1Q1967.53076.2188971284
2Q19543082190831264

以前、お勉強したときの内容から考えると、
当社の売上は、大まかに、「テナント数×単価」で決まるものと考えています。

とすると、テナント数は前期比で1桁台前半の増加率で推移していて、
売上も同じくらいの増加率で推移しています。











■利益率


営業利益率の推移です。




営業利益率も10%~15%で推移しています。

ここから、ファイナンスコスト、税金を差し引くと、当期純利益になります。


ファイナンスコストがかかる負債残高もかなり減ってきていますので、
当期純利益の増益幅が大きくなっています。






■今後の予想


ここまで見てきた感じから、アナリストコンセンサス予想は
精度が高くなるのではないかと感じました。

私の見ているサイトだと、

予想期:2019→2020→2021
EPS予想:0.03→0.05→0.07
1株配当予想:0.02→0.03→0.04

となっています。


予想PERが50倍くらいというのは、
同業の(AMT)アメリカンタワーや、(CCI)クラウンキャッスルとそれほど
変わりませんが、

個人的には、買うにはもうちょっと安くなってほしい気がします。



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2019/08/11

(00363)上海実業 2018年期末決算 配当7.2%


高配当な(00363)上海実業の2018年期末決算を確認してみました。

予想PER 4倍
予想配当利回り 7.2%
時価総額 約2200億円


スケジュールはだいたい以下の通りです。
・12月末決算締め
・期末配当 権利落 5月下旬→支払 6月中旬
・中間配当 権利落 9月中旬→支払 10月上旬



■どんな会社?


中国でインフラ(高速道路、水処理施設)運営、不動産販売、
消費財(タバコ、紙梱包)を行います。

上場子会社に以下の会社があります。
・00807:上海実業環境
・01381:粤豊環保電力
・00563:上海実業城市開発
・600748:上海実業発展


<インフラ事業>



<不動産事業>




<消費財事業>




タバコ販売と、タバコの紙パッケージ作成やプレゼント用包装紙等の、
包装全般になります。

■配当履歴


2000 0.410
2001 0.480(+17%)
2002 0.450(-6%)
2003 0.500(+11%)
2004 0.550(+10%)
2005 0.420(-23%)
2006 0.520(+23%)
2007 0.800(+53%)
2008 0.810(+1%)
2009 1.080(+33%)
2010 1.080(+0%)
2011 1.080(+0%)
2012 1.080(+0%)
2013 0.870(-19%)
2014 0.900(+3%)
2015 0.810(-10%)
2016 0.920(+13%)
2017 0.940(+2%)
2018 1.000(+6%)

キレイな連続増配ではないですが、全体としては増加傾向です。





■業績


・損益計算書、キャッシュフロー計算書
2014年2015年2016年2017年2018年
Revenue
売上
19967
(-)
19693
(-1%)
22131
(+12%)
29504
(+33%)
30412
(+3%)
Profit for the year
attributable to
Owners of the Company
当期純利益
3069
(-)
2770
(-9%)
2903
(+4%)
3150
(+8%)
3333
(+5%)
Net cash generated from operating activities
営業CF
-5551 311 9260 3566 359
Net cash used in investing activities
投資CF
-1641 1299 -2667 -2467 -1212
Net cash generated from financing activities
財務CF
6546 -1452 -1241 -2040 -4973
Increase in inventories
不動産在庫増減(営業CF)
-2383 -4271 3683 23 -4234
Increase in receivables under
service concession arrangements
インフラ運営収入権(営業CF)
-0 -490 -935 -2038 -2770
Interest paid
金利支払(財務CF)
-1274 -1436 -1425 -2353 -2745
Dividend paid
配当支払(財務CF)
-1093 -1469 -1150 -1551 -1608

営業キャッシュフローのばらつきが大きいです。

不動産販売事業と、インフラ(水処理施設運営)事業の影響で、
同業他社も、営業キャッシュフローが赤字になりがちな事業をしているためです。


■株価は割安か?


不動産、タバコ、水処理運営と、不人気事業がメインの当社ですが、
株価が安いと思って調べてみました。

<各事業の売上、利益推移>

イメージ的には、インフラ/消費財事業は安定的で、
不動産事業は業績のばらつきが大きいイメージですが、
実際どうなっているのか、過去の推移をグラフにしました。

・部門別売上



不動産の売上が最大です。
多い年と、少ない年があります。

近年は、インフラ部門もかなり多くなってきています。



・部門別利益




利益は、消費財+インフラがかなりの割合を占めています。

2009年から2010年にかけて医薬部門の売却により利益が減少していますが、
それ以降は、徐々に増益となっています。

<株価の評価は?>

年末時点の株価をもとに、時価総額の推移をグラフにしました。



利益は増えているのに、株価はむしろ下がっています。


当社全体のPERが赤の線です。

対して、比較的安定しているインフラ事業と消費財事業の利益のみ
当社の利益としてPERを計算したものが緑の線です。


インフラと消費財の事業としても、PERが10倍を割る株価になっています。

ちなみに、PBRは約0.4、過去3年で最低レベルです。


インフラ事業は、中国政府のPPP投資が低調であること、
タバコ事業は喫煙率の減少や、電子タバコの参入の影響があることが
考えられますが、それにしてもずいぶん安くなっているように思えます。


現地の証券会社レポートでも「なぜこんなに安いのか?・・・」
というコメントも見られました。



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