2019/02/14

PM と MO 2018年期末決算比較

先週、PM(フィリップモリス)の2018年分決算発表がありましたので、
PM(フィリップモリス) と MO(アルトリア)の2018年期末決算を比較します。

なお、アルトリアの決算については、当ブログのこちらの記事でも、
もう少しだけ細かく記載しています。

■業績


・損益計算書
フィリップモリスアルトリア
2017年2018年2019年(予想)2017年2018年2019年(予想)
Operating Revenues
売上
78098 79823 25576 25364
Net earnings attributable to
最終利益
6035 7911 10222 6963
Diluted EPS
一株利益
3.88 5.08 少なくとも
5.37
5.31 3.68
Adjusted Diluted EPS
(税調整後)一株利益
4.72 5.10 3.39 3.99 4.15~4.27


両社の売上には、たばこ税を含んでいます。
最終利益には、たばこ税は含まれていません。


フィリップモリスは、2019年~2021年のターゲットを3点かかげています。
・為替影響を除き、売上成長率を少なくとも5%
・為替影響を除き、(税調整後)一株利益成長率を少なくとも8%
ヒートタバコ(IQOS)の出荷量を2021年までで900億~1000億
2018年の出荷量は、413億でした。


フィリップモリスは、ヒートタバコを含めた2019年タバコの出荷量を、
1.5%~2%減で見込んでいます。
A total cigarette and heated tobacco unit shipment volume decline for PMI of approximately 1.5% to 2.0% versus an estimated total international industry volume decline, excluding China and the U.S., of approximately 2.5% to 3.0%; and


アルトリアは、2019年タバコの出荷量を、3.5%~5%減で見込んでいます。
Altria expects the 2019 full-year total domestic cigarette industry volume decline rate will be in a range of 3.5% to 5%.





■各経営指標


各経営指標を確認して、両社の特徴を考察します。

<売上推移>


フィリップモリスの売上推移です。
当社はタバコ税除外後の数字を公表してます。
アルトリアと比較するため、2011年の数字を100としてあらわしています。



アルトリアの売上推移です。
当社はタバコ税除外前の数字を公表してます。
同様に、2011年の数字を100としてあらわしています。



フィリップモリスの(紙)タバコ売上は減少傾向にあるのに対して、
アルトリアの(紙)タバコ売上はほぼ横ばいで推移しています。


ヒートタバコは、2016年1Qから売上計上されていますが、
2018年の増収率はやや鈍化しているように見えます。

<タバコ出荷数推移>


フィリップモリスのタバコ出荷数推移です。



アルトリアのタバコ出荷数推移です。



紙タバコ部分は、両社とも2011年から2018年にかけて約20%減少しています。
年率約2.5%減になります。

<推定単価推移>


推定単価は売上÷出荷数で当ブログ独自に算出しています。


フィリップモリスの推定単価推移です。

フィリップモリスは米国中国をのぞく世界中でタバコ販売をしています。
為替レートの影響を受けるため(売上もですが)、為替レートをあわせて掲載しています。

ドル高になるとフィリップモリスにとってマイナスとなります。
グラフが下がるとマイナスの影響と、直感的に見えるように、円ドルレートで表示しています。



アルトリアの推定単価推移です。



フィリップモリスの単価は為替レートの影響もあり、
2015年まで単価が下がっていましたが、
高単価なヒートタバコの出現により持ち直しています。

アルトリアは提供先が米国のみということで、
順調にハイペースに単価上昇が続いています。

<四半期推移>


紙タバコに限定したフィリップモリスの四半期推移です。



アルトリアも紙タバコの四半期推移です。


紙タバコは、
両社とも夏に販売が伸びて、冬は減る季節性がありそうです。

紙タバコは、
フィリップモリスは売上が減少傾向にあるのに対して、
アルトリアは売上が微増傾向にあります。

■まとめ


ここまで見てきた各経営指標を定性的に評価してみます。
商品評価項目フィリップモリスアルトリア
紙タバコ 売上 ×
出荷数 × ×
単価 ×
ヒートタバコ 売上 ×
IQOS→FDA認可待
※認可される保証はありません
JUUL→買収分寄与
出荷数
単価


フィリップモリスは紙タバコでは振るわないものの、
高単価なIQOSのおかげで立ち直りかけています。
ただし、出荷数そのものは依然として減少傾向にあります。


たいして、アルトリアは紙タバコの出荷数は減少傾向にありますが、
価格でうまく売上減を補えています。ただし、成長性はありません
IQOSが米国で認可されるか不明ですが、認可されれば、
フィリップモリスのような上積みが期待できそうです。


アルトリアホルダーのバイアスがかかっていますが、
定性的評価の×が〇になる可能性を考えると、アルトリアのほうが有望に思えてしまいます。

業績の見通しにおいても、フィリップモリスがIQOSで先行してる分、
やや良い見通しとなっているのかと感じます。



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