日本のリートの入門的なお勉強
これまでリートにあまり投資したことがなかったので、お勉強してみました。
勉強内容
・制度的なもの
・有効な投資指標の検証
・増資による投資口の希薄化リスク
■制度の違い
<根拠になる法律>
わからないことがあったとき、最悪何を調べればよいか?という意味で。
リート 株式
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投信法 会社法
振替法は共通
<株式と特に制度が異なる点>
その他、株式と制度的に一番違うところは、配当金の考え方ですね。
不動産会社は、内部留保、法人税があるのに対して、リートにはありません。
内部留保は翌年以降の投資の原資に使われたりします。
ですので、リートが事業拡大の投資する際は、借入か増資が必要になります。
株主的には法人税は無いほうが良いです。
利益のブレが大きいときは法人税額を見て、実態を把握しようとしますが、
売上のほとんどが賃料と不動産売買のみであれば、そういう機会もなさそうです。
ほとんどのリートで決算が年2回設定されているので、
年間の利益額等を知りたいときは、2期分の数値を合計する必要があります。
■投資指標
<1.NAV倍率>
株式のPBRに相当するもの。そうそう解散しないと思うので、NAV倍率は使わないことにします。
<2.FFO倍率>
株式のPERに近いもの。計算式が定義されています。
FFO=最終利益+減価償却費-不動産売却損益
FFO倍率=株価÷(FFO/発行済投資口総口数)
新しい物件を取得するような長期の事業拡大を考慮した指標というより、
いまある不動産でどれだけ稼げたか?という
短期の収益性を評価する指標という印象をもちました。
<3.分配金利回り>
株式の配当利回りに相当するもの。ブログ主的に大事。
<4.LTV>
計算式が定義されています。有利子負債÷総資産額
金利や負債元本の返済の観点から、健全性を示す指標と思いますが、
日本は金利が上がらないと思っているので、LTVは使わないことにします。
■投資指標はどれが株価に有効か?
投資指標はどれが株価に有効か考えてみます。
結論から言いますと、もっとも株価の上昇率を説明できる指標は、
分配金上昇率と考えられます。
ーーー以降、検証ーーー
株式で使うもの、リートで使われるものから
4つの投資指標を検討してみます。
・増収率
・増益率
・FFO
・分配金
なお、リートは増資が頻繁に行われていることから、
株価ではなく、時価総額を使用して検証します。
また、検証に使用する銘柄は、上場後10年以上経過していて、かつ
時価総額上位3社、分配金利回上位3社の6社のデータを使い検証します。
・時価総額上位3社:
(8951)日本ビルファンド
(8952)ジャパンリアルエステイト
(8953)日本リテールファンド
・分配金利回上位3社:
(3249)産業ファンド
(8963)インヴィンシブル
(8964)フロンティア不動産
<増収率と時価総額上昇率の相関図>
増収率と時価総額上昇率の相関図です。相関係数は0.16でした。
<増益率と時価総額上昇率の相関図>
増益率と時価総額上昇率の相関図です。相関係数は0.04でした。
<FFO上昇率と時価総額上昇率の相関図>
FFO上昇率と時価総額上昇率の相関図です。相関係数は0.41でした。
<分配金上昇率と時価総額上昇率の相関図>
分配金上昇率と時価総額上昇率の相関図です。相関係数は0.53でした。
もっとも株価の上昇を説明できる指標は、分配金上昇率という結論になります。
分配金上昇率と時価総額上昇率の関係を個別にみてみます。
概ね、分配金上昇率(青いバー)の上下変動幅より、
時価総額上昇率(赤い線)の上下変動幅のほうが幅が大きくなっています。
言い換えると、分配金が増えると、より時価総額(≒株価)の上昇が大きくなり、
分配金が減ると、時価総額(≒株価)の下落が大きくなるという関係と言えそうです。
■増資による発行済み投資口数の希薄化リスクはどれくらい?
増資による発行済み投資口数の希薄化リスクはどれくらいか検証してみます。
結論から言いますと、
時価総額の大きな銘柄は、希薄化率は低くなっています。
一方、分配金利回りの高い銘柄は、希薄化率は高くなっています。
ーーー以降、検証ーーー
株式分割の影響をのぞいて、起点を100とした発行済み投資口数の推移を
グラフにしてみました。
10年間で概ね1.5倍~2.5倍に増えています。
この間の平均的な増加率は以下のとおりでした。
(8951) 日本ビルファンド | (8952) ジャパンリアル | (8953) 日本リテール | (8964) フロンティア | (8963) インヴィンシブル | (3249) 産業ファンド | |
年平均増加率 (CAGR) | 3.0% | 4.1% | 4.9% | 7.7% | 32.0% | 9.4% |
時価総額の大きな銘柄と、分配金利回りの高い銘柄に明確な違いが見られました。
時価総額の大きな銘柄は、希薄化率は5%未満と低くなっています。
一方、分配金利回りの高い銘柄は、希薄化率は5%以上と高くなっています。
時価総額の大きな銘柄は、分配金は低いものの、希薄化が少なく株価が上昇しやすい。
分配金利回りの高い銘柄は、分配金は高いが、希薄化が大きく、株価の上昇は期待しにくい。
■感想
新しい発見がありました。
今は株価が高くて手を出しづらいですが、
景気が悪化すると、より株価下落が大きくなる可能性があるので、
そのときに分配金利回りを考えながら銘柄選びをすれば良さそうだと思いました。
ブログの先パイに勧められてツイッターはじめてみました。
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