2019/03/02

日本のインフラファンドに投資した場合の配当利回り


日本の取引所にインフラファンドが6銘柄上場しています。
どの銘柄も配当利回りが6%~7%程度あることから、
投資を検討してみました。


一番下の「どのくらいの株価を妥当と考えるか?」に各銘柄の検討結果を記載しています。


検討においては、通常銘柄の(9519)レノバも、ほぼ同業であると思われ、
インフラファンドと、通常の株式投資との違いを考えることもできそうなので、
以降では、レノバもあわせて記載していきます。


■日本のインフラファンドの年間予想分配金


分配金は2種類に分別され、その合計金額が投資家に支払われます。

・分配金:分配金合計金額のうち、当期純利益の範囲内の金額
・利益超過分配金:分配金合計金額のうち、当期純利益の範囲を超えた金額


それぞれの1口あたり分配金額が、各社から予想値が公表されていますので、
その金額を以下の表に掲載します。(2019/3/1時点)
※上が1口あたり金額、下が配当利回りです。


銘柄コード銘柄名分配金利益超過
分配金
分配金
合計金額
9281タカラレーベン・インフラ6232
(5.8%)
670
(0.6%)
6902
(6.4%)
9282いちごグリーンインフラ1375
(2.3%)
2185
(3.6%)
3560
(5.9%)
9283日本再生可能エネルギーインフラ4026
(4.4%)
2434
(2.7%)
6460
(7.1%)
9284カナディアン・ソーラー・インフラ5237
(5.5%)
1873
(1.9%)
7200
(7.5%)
9285東京インフラ・エネルギー397
(0.4%)
6475
(7.2%)
6872
(7.6%)
9286エネクス・インフラ3064
(3.7%)
2889
(3.5%)
5953
(7.1%)
9519レノバ0
(0.0%)
0
(0.0%)
0
(0.0%)


各社ごとに利益超過分配金が分配金合計金額に占める割合がかなり違っていることがわかります。
以降で、分配金と、利益超過分配金の内容をもう少し詳しく見ていきます。




■利益の分配金の詳細


年間の営業収益(=売上)から、利益がどのくらい出て、
分配金がどのくらい出ているか見てみます。
なお、上場後決算が1年に満たない会社は省略します。

銘柄
コード
期間有形固定
資産
営業収益
(a)
営業利益
(b)
当期
純利益
(c)
分配金
(d)
営業
利益率
(b)/(a)
営業収益
分配率
(d)/(a)
92812017/12

2018/11
202622698102890190138.1%33.4%
92822018/1

2018/12
10457114030619321026.8%18.4%
92832017/8

2018/7
13471107337924621335.3%19.9%
92842018/1

2018/12
415893808148974269239.1%18.2%
95192017/12

2018/11
39960123813085222024.9%0.0%


営業利益率は(9281)タカラレーベン・インフラ、(9283)日本再生可能エネルギーインフラ、
(9284)カナディアン・ソーラー・インフラが高く、(9282)いちごグリーンインフラ、
(9519)レノバが低くなっています。


(9282)いちごグリーンインフラは、減価償却費の割合が他社と比べて高いこと、
(9519)レノバは、売電をする当社と、発電施設の賃料事業の他社で事業内容が違うことで、
そもそもの費用構造が違うことが要因と思われます。


営業収益分配率は、(9281)タカラレーベン・インフラだけ高くなっています。
支払利息額、投資口交付費が相対的に小さいことが要因と思われます。



6か月ごとの営業利益率推移です。



(9282)いちごグリーンインフラ以外は30%台に、(9282)いちごグリーンインフラは
20%台に収束してきたという印象があります。

6か月ごとの営業収益分配率推移です。



(9281)タカラレーベン・インフラ以外は20%前後に、(9281)タカラレーベン・インフラは
30%前後に収束してきたという印象があります。




■利益超過分配金の詳細


利益超過分配金をタカラレーベンインフラ投資法人にて
とてもわかりやすい図で説明されています。



利益超過分配金は、減価償却費の6割を上限として分配金に
充てることができると法律で定義されています。

そこで、減価償却費と、分配金の割合を確認してみます。
銘柄コード期間減価償却費
(a)
利益超過分配金
(b)
利益超過分配金率
(b)/(a)
有形固定資産
92812017/12

2018/11
101810210.0%20262
92822018/1

2018/12
63622435.2%10457
92832017/8

2018/7
45114832.8%13471
92842018/1

2018/12
145656738.9%41589
95192017/12

2018/11
272300.0%39960


償却期間20年、資産の追加取得を考えると減価償却費はこのくらいですかね。
ここでも(9281)タカラレーベン・インフラの違いが見て取れます。

キャッシュフローの観点からもう少し見てみます。
銘柄コード期間営業CF投資CF財務CF有形固定
資産取得
(投資CF)
長期負債
借入
(財務CF)
投資口
発行
(財務CF)
92812017/12

2018/11
2369-69885299-670248942230
92822018/1

2018/12
1000-4-865-400
92832017/8

2018/7
717-59115675-572335432810
92842018/1

2018/12
1188-4357445519-430442749021899
95192017/12

2018/11
4797-72984989-4486102950


各社、有形固定資産の取得額が減価償却費を大きく上回っており
利益超過分配金を留保(再投資)するのか、分配するのかという観点では、
現状の規模では大きな意味を持たないような気がします。


■どのくらいの株価を妥当と考えるか?


分配金利回りから、妥当な株価水準(割安/割高)を考えてみます。
※ブログ主の主観です!

<利益の分配金の観点>

これまで検証した内容から、有形固定資産の3%~5%が利益の分配金へ
営業収益の20%~30%台が利益の分配金へ回っていることから、
利回りの目安として以下の程度を考えています。

割高:~3%
普通:3%~5%
割安:5%~

<利益超過分配金の観点>

減価償却費の20年償却、最大6割が分配可能という点と、
多くの銘柄は3割~4割分配している点から
利回りの目安として以下の程度を考えています。

割高:3%~
普通:1.5%~3%
割安:~1.5%

<総合判定>

この尺度で各銘柄を判定してみると、こんな感じになります。
銘柄コード銘柄名分配金利益超過分配金総合判定
9281タカラレーベン・インフラ5.8%
→割安
0.6%
→割安
割安
9282いちごグリーンインフラ2.3%
→割高
3.6%
→割高
割高
9283日本再生可能エネルギーインフラ4.4%
→普通
2.7%
→普通
普通
9284カナディアン・ソーラー・インフラ5.5%
→割安
1.9%
→普通
やや割安
9285東京インフラ・エネルギー0.4%
→割高
7.2%
→割高
割高
9286エネクス・インフラ3.7%
→普通
3.5%
→割安
やや割安


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